秋冬になると、毎年様々なメーカーからダウン製品が発売されるが、国内アウトドアメーカー「モンベル」でも、ゴアテックスを使用したダウンパーカ「イグニスダウンパーカ」が新発売された。
この記事では、イグニスダウンパーカの特徴やメリット、モンベルの他のダウン製品との比較も紹介しているので、よかったら見てみてね。
イグニスダウンパーカとは
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカは、2019年秋冬に発売されたモンベルのダウンパーカだ。
保温性が高いダウンウェアで、軽量でコンパクト、防風性、透湿性、耐水性を兼ね備えている。
2019 Editors' Choice Snow Awardを受賞
イグニスダウンパーカは、米国を代表するアウトドア専門誌『BACKPACKER』の「2019 Editors' Choice Snow Award」(2019 エディターズ・チョイス賞)を受賞するなど海外での評価も高い。
Editors' Choice Snow 2019: Montbell Ignis Down Parka - Backpacker
エディターズ・チョイス賞は、冬のフィールドでの過酷なテストを経て選ばれる賞だ。
133人のテスターが264の製品を実際に使用してテストした結果、優れた製品が選ばれる。
イグニスダウンパーカも、カナダのローガン山(標高5,959m)の気温-35度の環境で使用され、高い評価を得て賞を受賞している。
イグニスダウンパーカの特徴
- ゴアテックスメンブレンで防風、透湿、耐水性が高い
- 1,000フィルパワーで保温性が高い
- 軽量なバリスティックエアライトを使用
ゴアテックスメンブレンが使われている
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカは素材に「ゴアテックス インフィニアム™ ウインドストッパー® ファブリクス」という新しいゴアテックスの素材を使用しているのが大きな特徴だ。
この素材は高い「防風性」「透湿性」「耐水性」があるゴアの新素材だ。
ゴアテックス公式サイトより
「 ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」のメンブレン(薄いフィルム状の素材)には、水蒸気分子の900倍の大きさの孔が何十億個も開いていて、そこから汗の水蒸気を外に出すことができるため、内部の水蒸気を素早く外に出す高い透湿性を発揮する。
また1.0cfm(< 5l/m2/s)以下の空気透過性を備えた布地を使うことで高い防風性も確保している。
ダウンは水に弱いのが弱点だが「ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」の優れた透湿性と防風性、耐水性で、風や雨を防ぎ、体の中を常にドライにすることでダウンの濡れを防ぐことができるようになっている。
ゴアテックスインフィニアムについて
ゴアテックス公式サイトより
「ゴアテックス インフィニアム」は2018年にスタートしたゴアテックスの新しいラインだ。
ゴアテックス製品には黒、ゴアテックス インフィニアム製品には白いタグが付けられているのでひと目で判断がつくはずだ。
「ゴアテックス」は高い防水性と透湿性で知られているが、「ゴアテックス インフィニアム」は、雨の日以外のドライな環境で高いパフォーマンスを発揮することを目的に作られている。
2つの違いは「防水性」があるかないかだ。
どちらもゴアテックスメンブレンを使っているが「ゴアテックス」は防水仕様、「ゴアテックス インフィニアム」はシーム処理がされていないため防水でない製品も含まれている。
従来のゴアテックスは防水性を確保するために縫い目のシーム処理が必要だったが、シーム処理をするとごわついたりするという欠点がある。
そこでシーム処理をしていない製品も展開できるように新しいラインの「ゴアテックス インフィニアム」が誕生した。
イグニスダウンパーカはゴアテックスメンブレンを使用しているが、レインウェアのように縫い目のシーム処理がされていないため、「ゴアテックス インフィニアム」のラインになる。
「ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」のメンブレンは「防水性」はなく「耐水性」があると表記されているが、 モンベルは「ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」を使い、シーム処理を施した製品をレインウェアとして販売している。
そのためメンブレン自体にも十分雨を凌ぐ力があると思われる。
「ゴアテックス インフィニアム ウインドストッパー」を使用したレインウェア「バーサライトジャケット」の透湿性と耐水圧は他のレインウェアと比較しても十分な数値だ。
- 耐水圧:30,000㎜以上
- 透湿性:43,000g/㎡・24hrs
イグニスダウンパーカも防水仕様ではないが、バーサライトジャケットと同じゴアテックスメンブレンを使用していて、表面にDWR(撥水加工)が施してあるので、多少の雨や雪の日でも安心して使用することができる。
実際、エディターズ・チョイス賞のレビューでも「雨の降る日でも快適だった」と書かれている。
1000フィルパワーのダウンを使用している
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカのダウンには1,000フィルパワーの高品質な羽毛が使われている。
フィルパワーはダウンの暖かさを表す数値で、30gの量でどれくらいのかさに膨らむかを表している。
例えば800フィルパワーなら、30gのダウンが800平方インチに膨らむことを表している。
ダウンの膨らみが大きいほど空気を多く含むので、デッドエアが生まれ、高い保温力を発揮することができる。
モンベル公式サイトより
一般的には700フィルパワー以上のダウンが「高品質」と言われている。
イグニスダウンパーカに使われているダウンは1,000フィルパワーなので、非常に高品質なダウンになる。
他社のダウン製品と比べても、モンベルのEXダウンはフィルパワーが高い。
- ユニクロ「ウルトラライトダウン製品」:640フィルパワー
- パタゴニア「ダウンセーター」:800フィルパワー
- ザ・ノース・フェイス「アストロライトフーディ」:900フィルパワー
- モンベル「イグニスダウンパーカ」:1,000フィルパワー
1,000フィルパワーのダウンは他社ではなかなかみかけない。
フィルパワーが高ければ少量でデッドエアを確保し保温力を保つことができるので、製品の軽量にすることができるのも、大きなメリットだ。
縫い目を減らしたキルトデザイン
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカには、保温力を高めるためにキルトステッチにも工夫がされている。
ダウンウェアは、ダウンの片寄りを防ぐために縦横にキルトステッチがはいっているが、イグニスダウンパーカは縦のキルトステッチは直線ではなく、等間隔で隙間ができるように縫われている。
縫い目は冷気を通すコールドスポットになりやすいので、縫う箇所を減らすことで、コールドスポットを減らし、内部の暖かさが外に逃げるのを防ぐことができる。
そのため高い保温力を維持することができる。
イグニスダウンパーカに限らず、パタゴニアの「マイクロ・パフ・フーディ」やザ・ノース・フェイスの「アストロライトフーディ」など、最新のインサレーションウェアは縫い目を減らしたキルトパターンになっていることが多い。
軽量なバリスティックエアライトを使用
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカは表と裏の素材に軽量な「バリスティック エアライト」を使用している。
「バリスティック エアライト」は、強度の高いバリスティックナイロン糸を織り上げてできた生地で軽量で薄く、十分な強度がある。
バリスティック エアライトは非常に軽く、モンベルの最軽量ウインドシェルにも使われている素材だ。
関連記事:モンベル「EXライトウインドジャケット」レビュー!【世界最軽量45g】
イグニスダウンパーカの表地には13デニールの「バリスティック エアライト ナイロン・リップストップ」、裏には7デニールの「バリスティック エアライト ナイロン・タフタ」が使われている。
表地は13デニールと裏よりも厚く、引き裂きに強いリップストップナイロンを使用し、裏には7デニールと非常に薄いナイロンタフタを使用。
生地を使い分けることで、強度を保ちながらも軽量化している。
イグニスダウンパーカと他のダウンの比較
モンベル公式サイトより
イグニスダウンパーカとモンベルの他のダウンパーカを比較してみた。
比較したのは、冬山でも使える以下のダウンパーカだ。
- プラズマ1000アルパインダウンパーカ
- スペリオダウンパーカ
それぞれの価格や重量を比較すると以下のようになる。
名称 | 定価 | 収納サイズ | フィルパワー | 重量 |
---|---|---|---|---|
イグニスダウンパーカ | 33,000円 | 12×20cm | 1,000 | 278g |
プラズマ1000アルパインダウンパーカ | 38,000円 | 12×20cm | 1,000 | 236g |
スペリオダウンパーカ | 15,900円 | 11×19cm | 800 | 247g |
一番軽量なのは「プラズマ1000アルパインダウンパーカ」で236gだ。
続いて247gのスペリオダウンパーカとなる。
ただしスペリオダウンパーカは、フィルパワー800のダウンを使用しているので、保温力は他の2つに比べると低くなる。
イグニスダウンパーカは、ゴアテックスメンブレンを使用しているので重量が重たくなっているが、その分耐水性や防風性が高くなり、天候の変化に強くなっている。
200g台のダウンでこれだけの機能があれば十分だろう。
それぞれに特徴があるので、自分の目的に合わせて最適なダウンを選ぶといいだろう。
- 雨や濡れに強いダウンが欲しいなら「イグニスダウンパーカ」
- 軽量なダウンが欲しいなら「プラズマ1,000アルパインダウンパーカ」
- 手頃な価格のダウンが欲しいなら「スペリオダウンパーカ」
イグニスダウンパーカはこんな場面で活躍する
イグニスダウンパーカはゴアテックスメンブレンを使用しているので、従来のダウンに比べて防風性、透湿性、耐水性が高く快適に過ごすことができる。
山頂での防寒着に
イグニスダウンパーカは通常のダウンよりもゴアテックスメンブレンがあるぶん防風性が高いので、風の強い山頂付近で羽織ると便利だ。
また山頂付近は霧が発生したり、もやったりして空気に湿気を多く含んでいることが多い。耐水性のあるイグニスダウンパーカなら、耐水性があるので多少濡れても保温力をキープしてくれる。
テント泊で活躍
寒い時期にテント泊をすると思ったよりも気温が低くて、シェラフだけでは寒くて眠れないといったことがある。
そんなときにイグニスダウンパーカを着て寝れば暖かくして眠ることができる。
-35度の環境で利用できるのだから日本の山ならどこで使っても大丈夫だろう。
高い透湿性があるので、寝ている間の汗も外に放出してくれる。
寒い時期は内外の温度差によってどうしてもテントの中に結露ができやすいので、ダウンが湿りやすい。
イグニスダウンパーカなら高い耐水性と透湿性があるので、他のダウンと比べて、結露でダウンが濡れて保温力が下がってしまう心配がない。
バイクの防寒着にも
イグニスダウンパーカは、バイクの防寒着として使うのもおすすめだ。
寒い時期にバイクに乗ると冷たい風に体温をどんどん奪われてしまうが、イグニスダウンパーカを着ていれば、高い防風性と保温力で、寒い時期でも快適にバイクに乗ることができる
またバイク以外でもあまり体を動かさない時の冬の防寒着として最適だ。
イグニスダウンパーカまとめ
- ゴアテックスメンブレンが使われていて耐水性がある
- 1,000フィルパワーで暖かい
- コンパクトで200g台と軽量
イグニスダウンパーカはダウンの濡れに弱いという弱点を補うためゴアテックスメンブレンが使われているダウンパーカだ。
保温性や防風性も高く、シーム処理がされていないがゴアテックスメンブレンを使用しているので耐水性も従来のダウンに比べて高い。
湿気の多い日本ではダウンが濡れてしまうことがあるので、水に強いイグニスダウンパーカは使いやすいだろう。
-35度の環境でも利用できるので、日本の冬山ならどこでも使用できる。
休憩着として1着持っていれば重宝するだろう。
普段着にはオーバースペックかもしれないが、Tシャツにこのジャケットを羽織れば、冬はどこでも暖かく過ごせるだろう。
フィルパワー1,000のダウンを使用しているので値段は3万3,000円と少し高めだが、アメリカでは399ドルで販売されている製品なので、日本では1万円近く安く購入することができる。
国内メーカーなので海外より安く買えるのも良い点だ。
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