こんにちは友幸(@humberttomoyuki)です。
西尾維新の小説「クビキリサイクル」がOVAとして発売された。
OVAは化物語と同じく、制作会社シャフト、新房監督 となっている。
クビキリサイクルは2002年の作品なので、14年前の作品だということに驚愕するね。
久しぶりに再読してみたので、クビキリサイクルを紹介するよ。
クビキリサイクルとは
クビキリサイクルは西尾維新のデビュー作。
全11作品ある「戯言シリーズ」の1作目でもある。
「戯言シリーズ」から派生する作品として、2作目のクビシメロマンチストに登場する、主人公とそっくりの殺人鬼、零崎一識の一族が主役の「人間シリーズ」、
クビキリサイクルに探偵役として登場する人類最強、哀川潤が主役の「最強シリーズ」がある。
クビキリサイクルのジャンルはミステリー小説。
主人公ぼく(いーちゃん)は、ER3システムと呼ばれるアメリカの研究施設の若手育成プログラムを途中で中退し、アメリカから日本に帰国。
そして。以前から知り合いの「青色サヴァン」と呼ばれる天才技術者、玖渚友の付添として鴉の濡れ羽島に行くことになる。
その島には赤神イリアという金持ちにより天才ばかりが集められているという。
そして、孤島において密室殺人事件が発生。
その事件を解決する流れになる。
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、5人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする! 工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友(♀)とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃん(♂)は、「天才」の凶行を“証明終了(QED)”できるのか? 第23回メフィスト賞受賞作。
戯言シリーズについて
戯言シリーズは全9作あるが、ミステリー要素が強いのは最初の2作「クビキリサイキル」と「クビシメロマンチスト」だけで「クビツリハイスクール」以降は、なんの能力も持たない主人公が異能力者と戦うというバトルモノに変わっていく。
メフィスト賞を受賞する作品ってミステリー小説が多い印象だけど、エンターテイメント小説ならOKなんだよね。
途中から路線が変わっても売れてるならOKなんだろうね。
アニメの化物語シリーズを見たことのある人はわかるかもしれないが、西尾維新の作品は登場人物のキャラの個性が強く、登場人物の同士のかけあい、雑談が面白く、作品の魅力になっている。
戯言シリーズも「戯言使い」と呼ばれる主人公「いーちゃん」と登場人物のかけあいが面白い。
次第にミステリー要素はあまり重要じゃなくなっていったんだろうね。
裏セカイ系としての戯言シリーズ
主人公のぼくは、自分が何をしても世界は変わらないという信念を持っている。
「きみは他人に流される人間だね。みんながやってるからって理由で信号無視するタイプ。言語道断なくらい中途半端な人間だよ、きみは。でも、あたしはそういう人間、嫌い。大嫌い。だって、そういう人間は人のせいばかりにして、自分で責任を取らないからさ」
流れるように流される。
確かに、それがぼくの生き方ではあるけれど。
誰にも理解されず。
誰にも理解を求めず。
他人に頼らず己を頼み。
自分を食い潰しながら生きていく。
「……それも一つの生き方ですよ」
「誰のことを言っているのかな?」
玖渚の言う通り、ぼくには好きとか嫌いとかそんな積極的な感情、持ち合わせがない。誰にどんな迷惑をかけられても、それは雨に降られたようなもので、特に何も感じない。
思わざるを得ない。
ぼくは本当に人間なのだろうか?
全然他人の気持ちがわからない。
そして天才である玖渚に対しては羨望の感情を抱いている。
「きみが玖渚ちゃんの傍にいるのは、玖渚ちゃんが羨ましくて羨ましくてしょうがないからだ。感情を好き勝手に表現できる玖渚ちゃんをすごく羨ましく思っている反面、ただ、そうでもあるにもかかわらず全く幸せそうに見えない玖渚ちゃん。
自分が欲しいものを全部持っている癖に自分ができないことを全部できる癖に、それでも幸せじゃない玖渚ちゃんを見て、ほっとしているんだね。
ああ、自分の望みなんてかなわなくてもいいことなんだって」
戯言シリーズは「セカイ系」とは逆の構造を持つ「裏セカイ系」だと、社会学者の鈴木謙介の著書「ウェブ社会の思想」に書かれている。
いわゆるセカイ系の物語は一般的に、主人公とパートナーが結ばれることによって、同時に世界の破滅が回避される構造を持っている。
だが、「ぼく」と友の関係は、世界を救うというポジティブな目的に向けて結ばれるというものではなく、はじめから「いまある世界」を壊さない、ただ共依存的なものとしてあらかじめ設定されているのである。
クビキリサイクルでも園山赤音にぼくと友の関係は「共依存的」だと指摘されている。
戯言シリーズは異能者とのバトルものであると同時に、玖渚と共依存関係にある、世界に対して諦めている「ぼく」の成長物語でもある。
また、シリーズ終盤にぼくの敵として世界を終わらせようとしている「狐面の男」が登場する。
彼の終末思想は明らかにオウム真理教を思わせる。
エヴァンゲリオンのシンジ君が、1995年に放映されたアニメ版に比べて、2000年代に放映された新劇場版では性格が少し積極的になっているように、作られた年代の空気で同じキャラでも設定は変わってくる。
戯言シリーズはそういう時代の思想による違いを反映した「ゼロ年代(戯言使い)VS90年代(狐面の男)の戦い」とみることもできるよ。
クビキリリサイクルのネタバレ・あらすじ
これより先、クビキリサイクルのあらすじを紹介する。
完全ネタバレになるので、OVAや小説を楽しみたい人は見ない方がいい。
西尾維新の作品に限らず、小説はキャラクター同士のかけあいが魅力の一つ。
紹介するあらすじは、ストーリーの登場人物の行動をそのまま記述しているだけなので、それぞれのキャラクター性はわからない。
小説本来の楽しみは全くないので、トリックや犯人だけ知りたい人、小説を読み終わった、読んだことのある人が、話の流れをつかむために読むのをお勧めするよ。
登場人物
ぼく(いーちゃん):主人公。玖渚友の付添人
玖渚友(くなぎさ とも):ヒロイン。天才技術者
赤神イリア(あかがみ いりあ):舞台である鴉の濡れ場島の主人。
斑田玲(はんだ れい):屋敷のメイド長
千賀あかり(ちが あかり):三つ子のメイド。長女
千賀ひかり(ちが ひかり):三つ子のメイド。次女
千賀てる子(ちが てるこ):三つ子のメイド。三女
伊吹かなみ(いぶき かなみ):天才画家。足が悪い
佐代野弥生(さしろの やよい):天才料理人
園山赤音(そのやま あかね):天才。七愚人(ER3システムの中で最も賢い七人の一人)
姫奈真姫(ひめな まき):天才占術師。ESP能力がある
逆木深夜(さかき しんや):足の悪い伊吹かなみの付添人
哀川潤(あいかわ じゅん):人類最強の請負人
三日目(1) 人物紹介の章
1
島に来て3日目。
ぼくは倉庫で目覚め、天才技術者の玖渚に会いに行く。
玖渚に会った後、一人で散歩に出かける。
2
散歩中、天才画家の伊吹かなみ、足が悪いかなみのための付添人、逆木深夜に会う。
深夜の提案で午後にかなみの部屋でぼくの人物画を描く約束をする。
玖渚の部屋に戻り玖渚と会話をした後、一人で朝食を取りに部屋を出る。
3
ダイニングでER3システムの七愚人の一人、園山赤音と会う。
ここでぼくは、ER3プログラムと呼ばれる若手育成プログラムに参加し、6年目に中退し日本に帰ってきたことを話す。
将棋の勝負を午後にする話になるが、午後はかなみの部屋で絵を描いてもらう約束がある。
そのことを告げると赤音は画家への嫌悪感を示す。
赤音が去った後、天才占星術師 姫奈真姫がダイニングに訪れる。
彼女はESPの能力を持っているため、未来、過去の出来事を見通すことができる。
真姫に色々いじめられる。
4
玖渚の部屋にもどる。
ぼくの腕時計が壊れていることがわかり、修理するために玖渚に渡す。
5
午後、かなみの部屋に行く。
認識と記憶は一緒と話すかなみは、人がいると気が散って絵が描けないのため、ぼくがいる間は絵を描かず、代わりに2時間会話をする。
その後、玖渚の部屋に戻ると、玖渚は眠っている。
時計が既に修理してあったので、玖渚を寝かしたまま時計を受け取り、赤音の部屋に将棋をしにいく。
三日目(2)
1
イリアが夕食は全員参加するよう言っているため、全員参加の夕食に参加する。
どんな料理であろうと他人よりもうまく作ることができる天才料理人弥生の料理が並ぶ。
彼女は、嗅覚と味覚が人よりも優れているという。
その後、イリアが7日後に英雄的存在である天才哀川潤が来ることを告げる。
イリアは哀川に会うために、玖渚に7日後まで島に滞在することを提案するが、玖渚は予定通り早めに島を去ることを告げ、予定は変更しないという。
その後、かなみと赤音が言い争い、玖渚が止める。
真姫がぼくを挑発して怒らせようとするが、踏みとどまる。
2
10時 お腹が減ったという玖渚と食事をとるため部屋を出る。
あかりからひかりがリビングにいることを聞き、リビングに向かう。
リビングには、ひかり、深夜、真姫がいた。
極度の引きこもりである玖渚が島に来た理由は、昔島であった事件に興味をもったからだと話す。
3
玖渚の話を聞こうとしたとき、地震が発生する。
深夜はかなみに電話して無事を確認する。
部屋に戻り就寝する。
4日目(1)
1
かなみの部屋で、首の根元から切断されたかなみの首切り死体が発見される。
2
イリアがたまには朝食を全員でとることを提案し、深夜がかなみを呼びに行ったところ、死体を発見した。
死体は地震で倒れた3メートル幅ほどのペンキの川の先にある。
首切り死体のため、自殺の可能性もない。
ペンキの川に足跡などはないため、犯行は地震のあった時刻よりも前に起きたことになる。
地震以前の全員のアリバイを確認したところ、アリバイがないのは赤音一人。
加えて、二人の仲が悪いことは皆知っている。
深夜は地震後にかなみに電話し、無事を確認しているが、イリアは地震後の犯行は不可能なのだから、電話は深夜の勘違い、間違いだという。
ぼくはこれ以上殺人が起きないために、一番犯人の可能性の高い赤音を倉庫に隔離することを提案する。
赤音を隔離することで、赤音が犯人ではない場合でも、犯人が次の行動を起こすと赤音が犯人ではないことがわかる。
犯人は身動きが取れなくなり、拮抗状態を作り出せる。
3
玖渚の部屋にもどり、事件を整理する。
- 地震前→赤音のみアリバイがない。
- 地震後→ペンキの川があるため、犯行は不可能。
そして地震後にかなみの声を聞いたという深夜の証言が嘘だった場合、赤音が犯人となる。
本当だった場合、誰にも犯行は不可能となる。
4
玖渚と現場検証のため、デジカメを持ってかなみの部屋に行く。
ぼくはかなみの最後に描いた絵に違和感を感じる。
深夜が現れ、イリアに許可をもらったので、かなみの死体を埋葬することにする。
死体を寝袋に入れて山の中に埋める。
深夜をその場に残し、玖渚と一緒に屋敷に戻る。
4日目(2)
1
朝食を食べた後、玖渚は滞在している人間が過去に接点があったかどうか調べる。
ぼくはイリアに会い、警察を呼ぶことを提案するが却下される。
玖渚の部屋に戻ると、真姫が部屋にいる。
真姫はぼくに玖渚が大事なら傍を離れるなと忠告をして去っていく。
2
夕食に参加する。
あかりとてる子は哀川と連絡を取るため本土に渡ったため不在。
真姫に事件がどうなるか聞いたところすぐ終わるとのこと。
3
9時過ぎ。
ぼくはかなみの部屋でキャンバスを見たときに感じた違和感の正体に気がつく。
ひかりが玖渚の部屋を訪れる。
ぼくは玖渚をひかりに任せて、赤音に会いに行く。
赤音は密室のトリックについては答えがわかっているが、現在の拮抗状態を維持するために、あえて部屋に残っていることが判明する。
4
玖渚の部屋に戻る。
密室のトリックの謎をあかりに話す。
ペンキが倒れたのは地震が起きた時ではなく、犯人が意図的にこぼしたもの。
そのため、地震直後にアリバイのない人たちも犯人の可能性がある。
また、玖渚が調べた結果、かなみと赤音が島に訪れる以前から面識があったことがわかる。
5日目(1)
1
朝、ひかりが怒鳴り込んでくる。
一階の倉庫に来るよう告げ立ち去る
2
倉庫の中に首切り死体を発見する。
倉庫の鍵はかけてあり、通気用の窓が開いているが、窓の位置が高すぎて届かない。
2つ目の首切り死体も密室で発見されたことになる。
3
みんながダイニングに集まる。
ひかりは夜中の2時に赤音に読みたい本があるので持ってきてほしいと言われ、持って行った。
最後にあったのはその時である。
死体が発見されたのは9時半ごろ。
連絡がないことを不審に思ったひかりが発見した。
それぞれのアリバイを確認する。
その際、玖渚は脅迫症のため、極端な上下運動ができないことが判明する。
アリバイがないのは、ぼく、弥生、ひかりの三人。
アリバイがなく、倉庫の鍵を持っているひかりが一番の容疑者となる。
早急に犯人を決めつけてしまっては、赤音と同じようなことが起こる可能性がある。
そのため、ぼくはチームを組んで個人行動はとらないようにすることを提案する。
- A:ぼく、玖渚、ひかり
- B:イリア、玲、あかり、てる子
- C:深夜、真姫、弥生
結果、上記の3つのチームを組むことにする。
4
玖渚の部屋に戻ると、玖渚のコンピュータが破壊されていた。
どうやらデジカメの記録を消そうとしてようだ。
しかし、玖渚のコンピュータが破壊する時間は全員リビングにいた。
誰にもこの犯行は不可能ということになる。
5
ひとまず、赤音の死体を埋葬するため、担架で死体を運び、埋葬する。
その後、赤音の死体のあった倉庫の窓を外側から確認する。
倉庫の窓は内側からだと高くて届かないが、外側からだと山に埋まっているため、僕の胸の高さくらいの位置にある。
窓は部屋の中からのみ開くことができる。
赤音が窓を開けていれば外から倉庫への侵入は可能だが、倉庫の中に入ってしまうと、外に出る手段がない。
外にはロープをひっかけるような木々はなく、窓にフックをひっかけたような傷もない。
解決策がみつからないまま、屋敷に戻る。
5日目(2)
1
ぼくは玖渚とひかりを先に行くようにいい、イリアに再度会いに行く。
イリアに警察に連絡する気はないのか確認するが、前回同様、警察に連絡する気はない。
てる子に連れられてイリアの部屋を出ると、てる子に別の部屋に連れていかれる。
てる子は、イリアは殺傷症候群であり妹を殺した過去を持つ、その証拠に手首に無数の傷があることを話す。
だが、てる子が去った後、ぼくはイリアの手首に傷はなかったことを思い出す。
2
玖渚の部屋に戻る途中に、食事中の深夜、真姫、弥生と会い会話をする。
その後、玖渚の部屋に戻る。
ぼくは玖渚にキャンバスの自画像を見たときの違和感をの正体を話す。
かなみの部屋にモデルとして行ったとき、玖渚に時計の修理をお願いしていたため、腕時計はしていなかった。
にもかかわらず、かなみの部屋にあったキャンバスに腕時計が描かれていた。
玖渚はただの書き間違いじゃないかという。
その後、再度アリバイを洗い出して状況を整理する。
- 第1の密室→解決済み
- 第2の密室→方法は不明。ひかりのみ犯行が可能。
- 玖渚のコンピュータの破壊→時間的に誰にも不可能
その後、ぼくはてる子が言っていたこと(イリアは殺傷症候群で妹を殺害した)が本当かひかりに尋ねる。
ひかりは全部本当のことだという。
ぼくが過去の事件を聞こうとしたとき、、弥生が部屋を訪ねてくる。
3
弥生は嘘を一つついていたことを告げる。
地震があった当日、イリアと一緒にいたが、その場に玲はいなかった。
イリアは玲と弥生と一緒にいたと嘘の証言をしていることになる。
弥生は最初、身内の玲をかばったのかと思ったが、ひかりにアリバイがない時、かばったりしなかった。
ひかりをかばわなかったのは、イリアが犯人を知っており、ひかりが犯人でないことを知っているので、かばう理由がない。
そしてこの殺人事件はイリアが指示を出して、行っているのではないかと告げる。
ぼくは、弥生の話を聞いているうちに「肩のところが平らになる」というフレーズから、事件の犯人が誰かわかる。
5日目(3)
1 一番の見せ場
夕食会の最中、弥生は殺人事件が起こっているのに平然としている周りは異常だと取り乱し、自分の部屋に閉じこもると言って、ダイニングを出ていく。ぼくは玖渚を残して、弥生の後を追う。
弥生は自身の部屋の前の廊下でぼくを待っている。
犯人をおびき出すため、わざと弥生は取り乱して単独行動をとっていた。
そして、ぼくは弥生の代わりに弥生の部屋に入る。
部屋に入ると鉈を持った犯人と格闘になる。
ぼくは犯人にマウントポジションを取られ、絶体絶命に陥る。
しかし、部屋の中にいた第3の人物により、助けられる。
格闘の末、第3の人物は犯人の腕の骨を折り、ソファの向こうに蹴り飛ばす。
ぼくは第3の人物である、てる子に礼を言う。
ぼくとの会話中、てる子は犯人に拳銃で撃たれる。
ぼくは拳銃を持った犯人を前にして、完全に生きることを諦める。
しかし、その時、拳銃の音を聞いた玖渚が部屋に入ってくる。
玖渚は脅迫症のため、上下運動することができないが、一人で階段を登って部屋までやってきた。
犯人は、玖渚に拳銃を向ける。
ぼくを見つけて笑顔をみせる玖渚。
ぼくは犯人に玖渚を撃たないように懇願する。
犯人である赤音はそれを聞いて笑いながら拳銃を投げ捨てる。
2
ぼくは玖渚の部屋でけがの手当てを受ける。
ぼくはひかりからてる子はイリアのSPであることを聞く。
その後、ダイニングに移動、みんなに犯人は赤音、そして深夜が共犯者であることを伝える。
2つ目の密室の死体は赤音ではなく、かなみの死体だった。
3
かなみの死体を寝袋に入れて深夜と一緒に埋めた後、深夜は一人その場に残った。
その時、死体を掘り起こし、第2の殺人の時に再利用する。
最初の殺人では寝袋を使ったのに、2回目の殺人では担架を使って運んだ。
これは寝袋は、屋敷に元々あったの物ではなく、深夜があらかじめ用意していたものだということだ。
そして死体を赤音のいる部屋に窓から入れ、赤音のスーツを着せる。
深夜のアリバイを作るためと、ひかりに赤音の服装を覚えてもらうために、赤音はひかりを呼び出す。
そして玖渚のコンピュータやデジカメを破壊したのは、死体が同じだとばれる可能性があったため。
赤音は全員殺すために、死んだと見せかけていたと告げる。
次に、第2の密室で死体を再利用したのはいいが、赤音はどうやって倉庫から脱出したのかイリアはぼくに尋ねる。
窓は高い位置にあり、椅子に乗ってジャンプしても届かない。
そこで持ってきた死体を利用する。
死体を壁に立てかけて、椅子にのり、死体を踏み台にしてジャンプすれば窓に届くことができる。
踏み台として利用しやすいように首切り死体は肩から平らに切断されていた。
最後に赤音に殺人の動機を聞いたところ、全員の脳を食べようとしていたと告げる。
一週間後
島から戻るクルーザーの中ぼくはソファに座っている。
赤音と深夜は隣の部屋で本土に送りだされた。
弥生と真姫は島の残った。
ぼくは島を出る前に、真姫に会った時、全てわかっていて深夜のアリバイ作りに協力していたのかと聞くが、真姫にあしらわれる。
真姫は最後にぼくと玖渚がこれからどうなるか占い、2年くらいはずっとそんな感じ、と告げる。
部屋に玲が入ってきて、着岸を告げる。
その際、玲はぼくにお礼をいう。
ぼくは玲が実は本物のイリアだろうと話し、玲(イリア)は肯定する。
玲がイリアである理由は以下の3点。
- 滞在中、玲がメイドの仕事をしているところを見たことがない。
- ぼくがイリアの部屋に入った時、玲がソファに座っており、イリアが立っていた。
- 最初の殺人事件の時、イリアが嘘をついてまで、玲をかばった。
玲(イリア)はぼくに島に滞在しないかと話すが、ぼくは人殺しが嫌いだと断る。
玲(イリア)は三つ子のメイドは全員基本的に嘘つきだと告げる。
ぼくは改めて、玲(イリア)の腕を見るがそこには傷一つなかった。
後日談
玖渚の家に行く前に本屋に立ち寄ったぼくは、哀川に拉致される。
哀川はぼくが抱いている島での殺人事件の不満の正体を教える。
- 深夜はどうして自分にとって変え替えのない存在のかなみを殺したのか?
- 深夜と赤音がどうして共犯関係を結んだのか?
そして、記憶と認識が一緒と言っていた、かなみの描いたぼくの絵になぜ腕時計が描かれていたのか?
理由は、かなみと赤音は島に入る前に入れ替わっていたため。
玖渚がかなみと赤音が以前から面識があったことは確認している。
そして最初の殺人事件でかなみ(赤音)を深夜と赤音(かなみ)が殺した。
ぼくの絵に腕時計が描かれていたのは、かなみ(赤音)ではなく、赤音(かなみ)が絵を描いたため。
赤音(かなみ)に会った時、僕は常に腕時計をしていたので、腕時計が描かれていた。
地震の夜に赤音(かなみ)のアリバイがなかったのは、ぼくの絵を描いていたため。
そして赤音(かなみ)の本当の目的は、赤音に成り代わること。
全員を殺す、脳を食べると言っていたのは快楽殺人と思わせることでかなみ(赤音)だけを殺すという本来の目的を逸らすため。
深夜がぼくに寝袋を見せたのも、誰にも犯行が不可能なタイミングで玖渚のコンピュータを破壊したのもぼくにヒントを与え、一度死んだ赤音を生き返らせる必要があったから。
また赤音(かなみ)はそれ以前に既に誰かに成り代わられている可能性もある。
哀川はぼくに事件のあらましを伝え、去っていく。
ぼくは自分の家に帰ろうか考えるが、結局玖渚の家に行くことにする。
まとめ
OVAはクビキリサイクルだけで8本発売される予定。
戯言シリーズは全部で9冊ある。
戯言シリーズは途中でバトルモノになるので、そんなに時間はかからないだろうが、それでも全部出すとすごい数になる。
戯言シリーズはこれ以降も果たしてOVAとして発売されるのだろうか。
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