こんにちは友幸(@humberttomoyuki)です。
幸せの研究が近年行われており、ポジティブ心理学というジャンルも確立されている昨今。
様々な幸せに関する研究結果が発表されている。
どういった要因が幸せになるのか?
研究して日本人に合わせた結果の回答が以前にブログで紹介した本「幸せのメカニズム」には書かれていた。
この本では主に
- 自己実現と成長の因子
- つながりと感謝の因子
- 前向きと楽観の因子
- 独立とマイペースの因子
が重要だと書かれていた。
この本の末尾にそのベースになった幸福に影響を与える要因が書いてあるので紹介するよ。
1.年齢と幸福の関係
年齢と幸福の関係には様々な研究がおこなわれている。
- 子供や老年に比べると中年は不幸な傾向がある
- 若者よりも高齢者の方が満足度が高い傾向がある
- 他にも年齢とともに幸福度が増大する傾向がみられる場合もある
年を重ねていくと幸福度があがるということになるようだ。
2.性別と幸福の関係
性別と幸福の関係を調べた研究も多くある。
- あまり性差はない
- やや女性の方が幸福な傾向がある
- 日本での、研究は女性の方が男性に比べてやや幸福な傾向がある。
総合すると女性の方が男性よりも幸福度が高い可能性が高いことがわかる。
3.身体的健康と幸福の関係
身体的関係と幸福の関係の研究結果も多くある。
その結果によると、幸福は主観的幸福に大きな影響を与える。
面白いのは、医師による客観的な健康評価よりも、自己評価による健康の方が、幸福感との相関が高い。
つまり、実際の健康状態がどうなっているかよりも「自分自身が健康だと思っている」ことが重要なのである。
4.対麻痺患者と幸福の関係
対麻痺患者の幸福度は大幅に低下するが、時間が経つにつれて大きく回復するという結果がある。
障害を受けた人の幸福度は少なくとも5年は元の水準に戻らないという研究もある。
5.幸福と長寿の関係
幸福な人は健康であるだけでなく、長寿である傾向が高いという研究結果もある。
日本は長寿大国なのに幸福度が低いのはなぜだろうか。
6.信仰と幸福の関係
信仰心が高い人は主観的幸福が高い傾向にある。
ただし、アメリカでは信仰と幸福に高い傾向がある一方、日本では信仰の幸福への影響が見いだせないという研究結果もある。
7.結婚と幸福の関係
結婚が幸福に与える影響についての研究結果は多くある。
- 既婚者の方が独身者よりも主観的幸福が高い傾向にあるが、近年はその差がちいさくなりつつある
- 離婚した人の幸福度は未婚の人よりも低い
- 伴侶と死別した人の幸福度は結婚している人の幸福度と有意な差はない
つまり、幸福度は下記のようになる。
既婚者=伴侶と死別した人>未婚者>離婚した人
8.夫婦の幸福度
夫婦の幸福度は子供の誕生後に低下し、子供が独立して家を出るまでそれが続く傾向がある。
つまり一家団欒な幸せな風景というのは、一見幸せそうに見えるが、夫婦にとってはじつはそうではないということがわかる。
9.他者との関係
- 他者との親密で社会的なつながりは、多様性と接触の頻度が高いと主観的幸福が高くなる傾向にある。
自分とは違う様々なジャンルの人と関わることで幸せになる可能性が高くなる。
- 反対に、接する人の数は主観的幸福度にあまり関係しない。
例えば、仕事の話しかしない会社の人間だけとつながりを増やしても幸福度は上がらない。
趣味のサークルや、近所の人たちとの交流を増やすことで多様性を増すことが幸せになるためには重要になる。
10.他人との比較
人は自分と関わりのある他の人々と比べて、自分の主観的幸福を判断してしまう傾向にある。
人と比べる。
これが地位、お金、名誉を求めようと躍起になる原因になる。
11.失業者と幸せの関係
- 失業者は幸福度が低くなる傾向にある
- 同じような失業者が周囲にたくさんいる場合はその不幸は痛切には感じない
つまり失業者の多い国は不幸ではあるが、失業者にとってはダメージが少ない。
周りも同じ失業者がいるのであればこれは自分の責任ではないと考えることができる。
反対に失業率の少ない国で失業すると「自己責任」という名のもとに、自分への評価がさがるのではないだろうか。
12.家族、友人関係と幸せの相関
家族・友人関係の満足度と主観的幸福度の相関は、日本では低い。
反対に個人主義の国アメリカでは、大きくなる。
日本人のほうが、人間関係の満足度が低くても幸福度にあまり影響がないようだ。
13.人間関係と自尊心
アメリカでは「対人関係の満足度」と「自尊心」の相関が高い。
反対に日本では相関が弱くなる。
先ほどと同じように、対人関係はあまり日本人の自尊心とは関係ないようだ。
14.ボランティアと幸福の関係
ボランティア活動や慈善活動は幸福度に大きく関係する。
月に一回同好会の集まりに参加する、もしくはボランティア活動に参加するだけで、所得が倍増するのと同じくらい幸福感が高まる。
ボランティアに月一回参加するだけで所得が倍増した時と同じ幸福度!
これはボランティアに参加したほうが絶対お得ではある。
しかし私の場合、所得が倍増しても毎月の生活は特に変わらないので、幸福度がそこまで高まるかといわれればそんなに上がらない気もする。
15.頼れる人と人生満足度の関係
いざというときに頼れる人がいると答えた人の割合が多い国は、人生満足度の高い国であったという、131か国国民調査の結果がある。
日本は低そう。
16.他人とお金の関係
他人のためにお金を使ったほうが、自分のために使うよりも幸せになるという結果がある。
わたしはハンバート友幸のほしいものリストを公開しているので、幸せになりたい人はぜひどうぞ。
17.感謝と幸せの関係
感謝が物欲を低下させ、幸福を高める効果をもたらすことが知られている。
日々感謝である。
18.親切心と幸せの関係
自分の親切心に基づいて行ったことと日々カウントすることで、幸福度は高まる傾向にある。
親切心を発揮したら、是非いいことをしたことを記録しよう。
日々良かったことを書いていくだけで幸福度は高まるらしいから、是非実践したい。
19.遺伝と幸せの関係
主観的幸福の基本水準は遺伝的な気質によって先天的に決定されているというショッキングな研究結果がある。
また人格特性や主観的幸福の50%程度は遺伝により説明できるという研究結果がある。
幸福な人生を送れるかということも、ある程度はあらかじめ遺伝によって決まっているわけだ。
この50%を高いか低いかとみることでその人のポジティブシンキング度が測れそうだ。
20.外交的な性格と幸せの関係
外交的な人の方が幸福度が高い傾向にある。
つまり積極的に他人と関わっている人の方が幸福度は高いということだ。
確かに内向的な人よりも外交的な人の方が外から見ても幸せそうに見える。
21.幸福度とポジティブの関係
幸福度の高い人の方が良い出来事を思い出しやすく、出来事をポジティブに解釈する傾向がある。
反対に幸福度が低いと、物事をネガティブにとらえる傾向がある。
22.日常の態度と満足度
日常生活の平凡な経験を「満喫する」態度を持つようにすると満足度が高まる傾向にある。
何気ないことに満足できるように、満足するラインを下げることができれば、小さなことで幸せな気分になることができる。
23.ポジティブ幻想
人は、良いことが起こると自分の手柄だと考える。
反対に悪いことが起こると他人のせいにする。
この厄介な傾向を「ポジティブ幻想」という。
ある意味自分が生きやすいように生み出された知恵の産物ではないだろうか。
全部を他人のせいにするのもどうかと思うが、すべて自分の責任だと思うときつくなるからね。
24.神経症と幸せの関係
神経症傾向の強い人は幸福感、人生の満足度が低い傾向にあることが知られている。
細かなことをきにせずにおおらかにいる人の方が、日々幸せに暮らせるようだ。
25.自己統制と幸せの関係
自分で自分を統制しているという感覚「自己統制感」を持っている人は低い所得でも、あまり不幸を感じないことが知られている。
自分で自分をコントロールできている感覚というのはとても大事なことだと思う。
私はジムに通ってから、自身の体重をある程度コントロールできるようになったので、自分をコントロールできている感じが強まった気がする。
後は節約するために使うお金を制限している点も、自己統制感を高めている気がする。
26.自己目的とフローの関係
自己目的な(オートテリック)人ほどフローを体験しやすいことが知られている。
フローとは、内発的に動機づけられた、時間間隔を失うほどの高い集中力、楽しさ、自己没入感覚を体験する意識の状態のこと。
他人の考えに乗っかって目的に向かうよりも、自分で目的をセッティングして向かっていった方が、楽しめるし、集中力もあがるわけだね。
27.目標と幸福の関係
目標達成できるかどうかは幸福度に影響する。
挫折を重ねる人は幸福度が低くなる。
大きな目標を掲げて挫折するのではなく、小さな目標を重ねて大きな目標に向かっていった方が、幸福度は上がるというわけだ。
28.目標の一貫性
日常的目標と人生の目標に一貫性がある人は、人生の満足度が高い傾向にある。
目先のことを考えるだけではなく、人生の目標を考えてみて、お互いの目標が一致するようであれば人生の満足度は高くなる。
人生の目標を設定すると、日常的目標と人生の目標にどのような関係があるのか考えることができる。
日常の目標が人生の目標と離れているのなら、修正するべきなのかもしれない。
29.教育と幸せの関係
教育と主観的幸福の間には有意な相関が見いだせないと言われている。
いい大学を出ようが、中卒だろうが「教育」自体は関係がないということだ、
学校は知識やスキルを与える場所なので、教育自体で幸福度を上げる必要はない。
獲得したスキルを活かして幸福度を上げることができる、という考えもある。
反対に幸せと人間社会の営みの関係を知ることで、誤った目標設定したりしなくて済むのではないかというのが著者の主張である。
30.成績と幸せの相関
成績と幸福感には正の相関がある。
幸せな人は成績がいい傾向にある。
しかし面白いことに、非常に幸せな人は、もう少し幸福度が低い人よりも少し成績が低い傾向がある。
つまり成績がトップクラスの人は幸福度は高いが一番高いわけではない。
31.ポジティブと記憶力
ポジティブな気分になると記憶力が落ちる傾向にある。
またポジティブな気分は「関係性への着目」を促し、ネガティブな気分は「個別要素への着目」を促す。
細部を詳細に調べる人は幸福度が低い傾向にある。
32抽象的な視点と幸福度
抽象的な視点を促す場合とはっきりした基準を促す場合を比べると、抽象的な視点を促す場合の方が幸福度は高い傾向にある。
これは学校の成績はおおざっぱに良いのか悪いのかと聞く場合と、はっきりと学校の成績の平均点をきく場合ではおおざっぱに聞いたほうが幸せだということだ。
33選択と幸せの関係
多様な選択肢がある場合に「常に最良の選択を追及する人」よりも「そこそこで満足する人」のほうが幸せな傾向にある。
加えて「常に最良の選択を追及する人」は選択して得られた幸福感よりも、選択しなかったものを得られたなった失望感を強く感じてしまう傾向にある。
何事も「ほどほど」で満足するのが一番なのである。
34.収入と幸せの関係
収入と幸せに関する研究は多くある。
- 「生活満足度」は年収に比例する
- しかし「感情的幸福」は年収7万5千ドル(900万円くらい)までは収入に比例して増大するものの7万5千ドルを超えると比例しなくなる。
- 長期的に見れば、収入と幸福の相関は弱く、収入が増大しても主観的幸福感は高まらない傾向にある。
「人生に満足してますか」という問いについては年収に比例し、「楽しいですか」という問いは7万5千ドルを超えると変わらなくなる。
幸福の持続性の低い所得、地位などの上昇ばかりを目指して頑張ることを「快楽のランニングマラソン」という。
35.失業と幸せの関係
多くの研究で、失業は幸福を抑制する結果が出ている。
- 失業は失業した所得損以上に幸福度を低下させる
- 失業は離婚や別居などの他のどの要因よりも幸せを抑制する
しかし11で書いた通り、周りに失業者が多いと、そのダメージは少なくなる
36.吟味と幸せの関係
ものを購入する際に「あらゆる情報を仕入れ細かく吟味する人」と「ある程度適当でいい人」を比較すると吟味派はうつ傾向が強く、適当派のほうが幸福度が高い傾向にある。
37.ものと幸せの関係
ものを購入することは幸せとあまり関係はない。
ものを買うこと「自体」で幸せになれると考えているがそれは幻想である。
しかし、ものを通した経験から人は幸福を感じることができる。
車を買って、色々なところにドライブに行ったりすることで幸福度が高くなることがあるだろう。
38.趣味と幸せの関係
テレビや映画を見ることよりも、運動、園芸、スポーツの方が高い満足度をもたらす。
テレビや映画は受動的に情報を受け取るだけなので、自己実現や人間関係につながりにくいため幸福度は低くなる。
39.消費と幸せの関係
テレビや服などの物質的消費よりも、コンサートや旅行などの体験的な消費の方が、幸福感に強く影響する。
モノより思い出である。
40.創造と幸せの関係
音楽、絵画、ダンス、陶芸などの美しい芸術を見るよりも、自分で作るほうが主観的な幸福度が高くなる。
Do it yourselfである。
また自分の顔を美しくする化粧は幸福と正の相関があるが、整形は負の相関がある。
整形はありのままの自分を否定するので幸福度が低くなるのではないかと著者はいっているが、わたしは単純に「化粧」と「整形」の社会の寛容度の違いだろうとにらんでいる。
ありのままの自分を否定するなら、化粧も同じだろう。
社会的に美しい、正しいといわれている方向に自分の顔を変えていくのはどちらも同じである。
41.グループ活動と幸せの関係
スポーツ活動、社交クラブ、音楽、演劇団体、スポーツチームへの参加といったグループ活動は主観的な幸福と相関があり、抑うつや不安を減らすことができる。
グループ活動に参加することで多様な人間関係を育むことができる。
42.幸福度上位の人たち
幸福度が最も高い上位に10~12%の人々は、彼らよりもわずかに幸福度が低い人たちほどには高収入ではない。
また政治活動なども積極的ではない。
政治に参加しないといわれている日本の若者。
実は幸福度が高いといわれているよね。
43.階級と幸せの関係
アメリカの中高生への調査の結果、労働階級の子供たちの方が、中上流階級の子供たちよりも幸福度が高い結果がある。
これは中高生を対象にしているが、大人にアンケートした場合はまた結果が変わってくるような気もする。
44.政治と幸せの関係
直接民主制で政治参加への機会がある場合、人々の生活満足度を高める。
独裁国家に比べればそれは当たり前だろうと思うかもしれないが、大事なのはちゃんと検証してデータを取っているという点である。
45.社会情勢と幸せの関係
冷戦後、情勢不安定にあったロシアやイラクの侵攻危機下であったクウェートでは、生活満足度は低くなる。
これも上述したようにきちんとデータを取っている点が大事。
46.集団主義と幸せの関係
東洋の集団主義文化においては、満足度と強い相関があるのは「自尊心」よりも「調和」である。
13でアメリカでは人間関係と「自尊心」が強い相関にあったが、日本人などは、友人関係や家族関係よりもより大きな調和を大事にするようだ。
47.アジア人と幸せの関係
アジア系の人は将来の目標達成につながる活動に幸せを抱き、欧米系はより刹那的なものに幸福を感じる傾向にある。
アジア人のほうが建設的な活動に幸せが関係しているようである。
これは46の「調和」と満足度が関係していることも関係あるに違いない。
48.脳と幸せの関係
幸福度の高い人は、左脳前頭葉部の活動が右脳前頭葉部の活動よりも活発である。
またチベットの仏教僧は、左脳前頭葉部の活動が右脳前頭葉部の活動よりも活発。
また瞑想をするひとは左脳前頭葉部の活動が活発になる。
このことから左脳前頭葉部の活動は幸福や穏やかな心と関わっているようである。
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