こんにちは友幸です。
「ぼくたちにもうモノは必要ない」の著者の佐々木典士さんの最新刊「ぼくたちは習慣で、できている」を読んだので、紹介するよ。
習慣を身につけるためのまとめ本
「ぼくたちは、習慣でできている」はミニマリストの佐々木さんが「習慣」について書いた本だ。
ミニマリストも、モノを少なくして生活環境を一新させ、習慣を変える手段といえる。
そう考えると、佐々木さんが習慣についての本を書くのは自然な流れだといえる。
本の内容は悪い習慣を断ち切り、良い習慣を身につけるための方法が順番に書かれている。
ざっくりいうとこんな感じだ。
- 1章 ⇒意志力とはなにか?
- 2章 ⇒習慣とは何か?
- 3章 ⇒習慣を身につける50のステップ
- 4章 ⇒努力や才能について
かなり雑に一言でいうと、習慣についてわかりやすく紹介している「習慣まとめ本」になる。
これまで習慣の本や時間管理術の本を何冊か読んだことのある人なら、マシュマロの話や脳科学系の話などは聞いたことがあるだろう。
(ただしわたしのように、なにかで聞いたことがあってもまったく実践していないのであれば、あまりほめれられたものではない)
「概要は大体知っているから習慣を身につけるステップを知りたい」という人は3章だけ先に読んでもいい。
この本のステップを全て実行すれば確実に良い習慣が身につくだろう。
よい習慣を身につけても成功するとは限らない
よい習慣を身につけるのはとてもいいことだ。
そりゃあ悪い習慣を断ち切って、よい習慣を身につけたほうがいいだろう。
ただしよい習慣を身につけることと「習慣によって目標を達成できるか」どうかは別問題だ。
成功者と同じ習慣を完璧に身につけたとしても、仕事で成功する保証はどこにもない。
栄養バランスの摂れた食事を食べて、夜更かしをやめ、朝起きして健康的な生活を送っても、病気にかかったり交通事故で死ぬかもしれない。
そのあたりは運の問題だ。
世の中は、能力の同じ人間が2人いた場合、 運がいい方が成功するようにできている。
成功者のサクセスストーリーは、全て後付けで理論武装しただけでじゃんけん必勝法と大差ない。
それが現実だ。
ただし、良い習慣を身につけて目標に向かって努力することは、確実に成功する確率を上げてくれる。
結果的に目標は叶わないかもしれないが、よい習慣は確率を上げることができる。
自己肯定感を作る
習慣の本を手に取るということは現状の自分の習慣に不満があり、何か変えたいと思っているはずだ。
理想の自分と現在の自分にギャップがありそれが埋められないので苦しんでいる。
これを埋めるためには、現実の自分をしっかりと見つめて、理想像を現実に寄せるか、現実の自分を理想に近づけるかのどちらかしかない。
よい習慣を身につけるということは、そのギャップを埋めて現在の自分を理想の自分に近づける行為だと思う。
この本でもいわれているが、たとえ成功しなくても目標に向かって努力することで自己肯定感を生み出すことができる。
そっちの方が目標達成よりもよっぽど重要だ。
目標に向かって頑張っても必ずしもそれが叶うわけではないが、理想の自分に近づいているという自信が、自己肯定感を生み出し満足を作り出す。
それが自信につながっていく。
努力できる才能は環境によって左右される
この本では「才能は環境と遺伝どちらに左右されるのか」という問題に対して、どちらも同じくらいだといっている。
たしか遺伝子がまったく同じ一卵生双生児の子供を、それぞれ別の環境で育てたりするなどした複数の研究で、「遺伝と環境は50%ずつ影響を与えている」という何の参考にもならない結果がでているはずだ。
才能は環境と遺伝どちらも影響を与えているということは、あとは努力できるかどうかがとても重要になる。
ただし残念なことに「努力できる才能」は、環境によって左右されるという研究結果がある。
所得の高い世帯の子供は、所得が低い世帯の子供よりも努力するという内容で、この格差は「インセンティブ・デバイド(意欲格差)」と呼ばれている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds1951/66/0/66_0_213/_pdf
保守派の論客である内田樹先生を震撼させた説だ。
これはまぁ納得のできる話で、所得が高い親は自身が努力した結果、成功を収めているので「努力をすれば報われる」と考えるが、所得が低い親は「努力しても無駄だ」と考えていることが多い。
親を見て育った子供はその価値観に影響を受けるようになる。
才能を獲得するためには、目標に向かってこつこつと努力する必要があるが、努力できる才能は、育ちのいいお坊ちゃん、お嬢ちゃんに身につくということだ。
世知辛い話だね。
ストイックな姿勢で有名なイチロー選手も、貧困層の家庭で生まれていたら、自堕落な生活を送っていたのかもしれない。
インセンティブ・デバイドは、所得格差や階層の固定化につながるので非常やっかいな問題だ。
この結果は「努力できないのは自己責任」「努力は万人に平等」という当時はやっていた「自己責任論」に異議を唱えることになった。
(「自己責任論」からの免罪符となったともいえる。)
ただしこの結果は、高校生の時間外学習時間=努力としているので、大人になってからの努力ではないということ。
努力自体は無駄ではないし、大人になってから良い習慣を身につけることはとても良いことだ。
ただし先に話した努力が無駄だと考えている人が、良い習慣を身につける努力をするかどうかは疑問だけどね。
佐々木さんの本にも習慣化するまでは我慢が必要だと書いてあるし。
まぁそういう人はそもそもこの本を読まないから問題ないのか。
それこそが問題なんだけどね。
まとめ
今までにも習慣化の本は数多く発売されている。
どうしてかと考えてみると理由は簡単で、「習慣を変えるのはかなり難しい」からだ。
本を読んでも習慣化に成功しない人が多く、決定打にならないから、次の習慣本が発売される。
この辺は数多く発売されている片付け本やダイエット本と同じだ。
片付けもダイエットもいってみれば、生活習慣のたまものだしね。
わたしも時間管理術などの本を読んでも、読んだだけで満足して実践しないので、結局あんまり意味がないことがほとんどだ。
佐々木さんの本を読んでも自分が知っている部分があっても、全く実践していないことに気が付く。
ただし知識として知っているだけでも、まったく知らないのと比べれば、習慣に対する意識が変わるはずだ。
そのことによって、習慣を変えようと思う気持ちが少しでも湧いてくれば本を読んだ価値はある。
本を読んだら、とりあえず書いてあることをひとつでも、実践してみるのがいいと思う。
小さいことからコツコツと始めてみよう。
時間管理について知りたいならこの本も参考になる。
プライム会員なら無料で読めるよ。