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ハンバート友幸の庭

貯金1000万円でセミリタイア中のミニマリストワナビー。月5万4000円で節約生活中。

面白い!おすすめの小説ランキングベスト100まとめ!

おすすめの本

こんにちは友幸です。

 

わたしは年間200冊くらい本を読む本好き。

そこでわたしが選ぶおすすめの小説100冊をまとめて紹介するよ! 

おすすめの小説の前に

本の面白さは,本を読んでいる間にしかないと思っているので、後から振り返ってランキングつけるのもどうかと思うんだけど、読んできた本を振り返るいい機会でもあるのでランキング順に並べてみた。

 

独断と偏見で選んでるので、まぁ軽い気持ちでみてほしい。

 

ルールは以下のとおり。

同じ作家の小説は紹介しない

理由は、同じ作家の作品だけにかたよる可能性が高いから。

一人の人間が読む本に偏りがあるのは当然。

 

趣味趣向が偏らずにできるだけいろいろな人に読んでもらえるようにしたい。

というわけで1作家1冊のみで紹介することにした。

日本文学、海外文学を区別しない

理由は、国内文学しか読まない人にも、海外文学を読んでほしいから。

海外文学を読まない人は、海外文学のハードルが高いと思っている人もいるかもしれないがそんなことはない。

 

優れた翻訳は変な日本語の文章よりも読みやすい。

それに世界中から選ばれて翻訳された小説は、日本だけで書かれた小説よりも面白い可能性が高い。

 

個人的には海外文学は日常から離れたところに連れていってくれるトリップ感が好き。

日本文学はどうしても現実と地続きなところがあるからね。

戦後の小説に絞る

線引きをどのあたりにしようか悩んだが、1945年以降の小説に絞ることにした。

なので、ホメロスやシェイクスピア、ドストエフスキーやトルストイ、チェーホフ、ヘッセなどの海外の偉人とか、夏目漱石、芥川龍之介や太宰治などの日本の文豪も除く。

 

これもラインナップが昔の作家ばかりになるのを避けるためである。

ジャンルは絞らない

ジャンルは絞らない。

ミステリ、ファンタジー、恋愛、青春、SF、ホラー、ピカレスク、パサージュ、エンタメ、純文学なんでもありで。

 

ただしわたしが読んだことがある本に限られるので、携帯小説とかロマンス小説、BL小説とかははいってない。

 

それでは小説ランキングベスト100いってみよう!

※画像をクリックするとアマゾンにとぶよ。

おすすめの小説

【第100位】abさんご 黒田 夏子

「途方もないものを読ませていただいた」──蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴びて早稲田文学新人賞を受賞した本作は、75歳の著者デビュー作。昭和の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語である。半世紀以上ひたむきに文学と向き合い、全文横書き、「固有名詞」や「かぎかっこ」「カタカナ」を一切使わない、日本語の限界に挑む超実験小説を完成させた。第148回芥川賞受賞作。小説集『abさんご』より表題作のみ収録。

ぼんやりとした記憶と共にある小さい少女の頃の記憶を固有名詞を排した文章でつづる。

装丁のぼやっとしたイメージとぴったりの作品。

両親の性別さえ曖昧なぼんやり感は文学ならでは。

 

小説は例えば、「楽しい」と思った時に、ただ「楽しい」と言ってしまうのではなく、「楽しい」と思った状況や行動を作り上げることで、「楽しい」という雑な言葉ではなく、本当に言いたい個別具体的な感情や気持ちをすくい取っていく作業のようなものだと思う。

 

「abさんご」はそういう要約できない気持ちの集積のような作品。

【第99位】美しい星 三島由紀夫

自分たちは他の天体から飛来した宇宙人であるという意識に目覚めた一家を中心に、核時代の人類滅亡の不安をみごとに捉えた異色作。

三島由紀夫としては異色のUFOや宇宙人の話がでてくるSF小説の皮を被った純文学。

自分たちは宇宙人だと信じている家族が主要な登場人物。

宇宙人だと妄信している痛い電波家族が、UFOと交信するために山に登ったり、核兵器の恐怖から、人類を救うために手紙を書いたりする。

自分は金星人だと信じている娘、暁子の冷たいキャラが好みで印象に残っている。

三島由紀夫は文章でしか味わえない、装飾的な文語調の日本語が魅力。

「金閣寺」もいいけど、これもオススメ。

【第98位】赤朽葉家の伝説 桜庭一樹

「辺境の人」に置き去られた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女らを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。第60回日本推理作家協会賞受賞作。ようこそ、ビューティフル・ワールドへ。

山陰地方の紅緑村に代々続く名家、赤朽葉家。 未来を観ることのできる祖母、千里眼の万葉(まんよう)、死者に絡め取られた人生を過ごす母毛鞠(けまり)、そして現代を生きる語り手の瞳子(とうこ)。 戦後に赤朽葉家の女として生まれた親子三代の物語。

日本の経済成長により徐々に生活を変えていく紅緑村を舞台にして、不思議な出来事が起こる神話的小説。

テンポよく話が進み、最後はミステリ調になる。 それぞれの世代で考え方が異なるが、個人的に現代を生きる瞳子の「何となく生きているがそれではいけないような気がする、だけど何をすればいいのかわからない」という感情に共感する。

著者の桜庭一樹は鳥取出身のため、山陰地方が舞台になることが多い(「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」など)

田舎の閉塞感とそこに住む人々を描くのがうまい小説家。

彼女の作品はなんとなくジメッとした感じがあるが、少女漫画のような雰囲気もあるので、案外読みやすい。

女性にしか書けないだろうなと思う小説。

【第97位】槿 古井由吉

男の暴力性を誘発してしまう己の生理に怯える伊子(よしこ)。20年も前の性の記憶と現実の狭間で揺蕩う(たゆたう)國子。分別ある中年男杉尾と二人の偶然の関係は、女達の紡ぎ出す妄想を磁場にして互いに絡み合い、恋ともつかず性愛ともつかず、「愛」の既成概念を果てしなく逸脱してゆく。 濃密な文体で、関係の不可能性と、曠野の如きエロスの風景を描き切った長篇。谷崎潤一郎賞受賞。

内向の世代を代表する作家。

古井由吉の長編小説。

御年77歳の大御所作家である。 主人公の杉尾と2人の女性の関係を描いた作品。

人間の狂気といのだろうか、現実の輪郭の曖昧さのようなものを考えさせる。

 

古井由吉独特の文体で、文章の力と言うものを味わえるこれぞ純文学といった作品。

村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」と話のすじが似ていると思ったのはわたしだけなのだろうか。

【第96位】話の終わり リディア・デイヴィス

年下の男との失われた愛の記憶を呼びさまし、それを小説に綴ろうとする女の情念を精緻きわまりない文章で描く。「アメリカ文学の静かな巨人」による傑作。 『ほとんど記憶のない女』で日本の読者に衝撃をあたえたリディア・デイヴィス、待望の長編!  リディア・デイヴィスの書く文章は、そっけないほどに無駄がなく、淡々として、無機質ですらある。思考がそのまま結晶したような硬質で純度の高い言葉が、どこまでも均一に並んでいる。それでいて彼女の文章はとても音楽的で、強く五感に訴えてくる。じっさい読み終わって振り返ってみると、ユーカリの強い香気や、紅茶の苦い味や、夜中に聞こえてくる波の音や、風に吹かれて転がっていく花の赤などが、思いがけない生々しさでよみがえってくる。

リヴィア・ディヴィスはインタビューで「物語の出来事自体に興味はなく、そこで人間がどう考えるのか、意識のプロセスに興味がある」と語っている。

 

この作品もただの恋愛小説ではなく、主人公の女性が過去に年下の男と付き合っていたことを小説にしようと思い振り返るという二重構造になっている小説。

 

過去を振り返りながら、自身の記憶は本当に正しいのかと思い直し、書き直す。

そのプロセスも含めて、過去の恋愛が描かれる。

 

小説家が小説を書く過程を含めて描いたエッセイ風恋愛小説。

年下の男はポールオースターではないかという話もあるらしいよ。

【第95位】俺俺 星野 智幸

なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎて、もう何が何だかわからない。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて――。他人との違いが消えた100%の単一世界から、同調圧力が充満するストレスフルな現代社会を笑う、戦慄の「俺」小説! 大江健三郎賞受賞作。

 

俺俺詐欺を働いた主人公永野均が、実家に帰るともう一人の俺がいて次々に俺が増殖していく。

 

次第に俺と俺同士が殺し合う展開になる。

わたしが使う一人称の「俺」と他人が使う「俺」は同じではない。

 

わたしはわたしで他人は他人だからだ。

しかし文章の上では同じ「俺」である。

そんな文章上の同一を小説世界で再現した小説。

 

映画化もされている。

見てないけど。

【第94位】もしもし ニコルソン・ベイカー

全編これ二人の男女の電話の会話からなるおかしなおかしな「電話小説」。しかもこの電話は会員制のセックス・テレホン。二人は想像力の限りをつくして自分たちが何にいちばん興奮するかを語り合う!全米でベストセラーとなった本書のテーマは、いわば想像の世界における究極の「H」。

テレホンセックスを男女が行う様子をひたすら描写した小説。

色々な比喩を交えて、お互い楽しもうとする。

比喩がいちいちインテリくさい。

 

エスカレーターを登る会社員の考えごとをひたすら描写した中二階に続いて、ニコルソン・ベイカーのミクロコスモスの世界が味わえる。

どんなものでも小説になるということを教えてくれる小説。

【第93位】緑のさる 山下澄人

彼女と友達に裏切られたフリーターの「わたし」は、海に行き不思議な出来事に遭遇する。小説の可能性を追求した意欲作。平成24年度・第34回野間文芸新人賞受賞作。

読んだ時にカフカっぽいなと思った小説。

 

平易な文章で日常を描くんだけど、独特の浮遊感がある。

突然、カニの視点になったり、トラと戦ったりと日常がファンタジーな小説。

 

作者が劇団の人なのでそのへんが自由にできるのかも。

自由奔放な純文学小説。

【第92位】わたしの物語 セサル・アイラ

わたしの物語 (創造するラテンアメリカ)

「わたしがどのように修道女になったか、お話しします。」
ある「少女」が語るこの物語は、読者の展開予想を微妙に、しかしことごとく、そして快く裏切ってゆく――。
数多のラテンアメリカ作家が崇拝してやまないセサル・アイラの代表作、待望の邦訳。

わたしがどのように修道女になったかを語りだしたかと思えば、話はどんどんと読者が思っていた方向とは別の方向へ向かっていく。

話がそれていくわたしの物語はどこに行き着くのか。

 

明後日の方向に話がそれていく様は、小説の面白さは本道ではなく、脇道にあるんだといわんばかり。

このふてぶてしさを体験したい方はぜひ本書を読んでほしい。

 

修道女と関係のないインパクトのあるピンクの表紙絵の意味は読んでいればわかるよ。

【第91位】不安の書 フェルナンド ペソア

不安の書

終生、リスボンの貿易会社の仕事にたずさわりながら、もっとも先鋭的な作品をのこしたフェルナンド・ペソアは、生前ごく少数の理解者を得たにとどまり、1935年、ほとんど無名のまま47歳の生涯を終えた。没後、膨大な遺稿が徐々に刊行されるに及んで、その現代性が高く評価され、ペソアは20世紀前半の代表的な詩人のひとりと目されるようになった。1982年に刊行された『不安の書』は、ヨーロッパの各国語に翻訳され、今なお多くの読者を魅了してやまない。存在の不安、自己のアイデンティティの危うさ、生の倦怠、夢と現実の対立と交錯が、リスボン在住の帳簿係補佐の手記という形式を借りて語られた。現代世界文学の傑作とされる。

ほぼ無名のまま死んだフェルナンドペソアの遺稿を編集、出版したもの。


掃除婦のまま生涯を終えたヘンリー・ダーガーがのちにアウトサイダーアートの代表

と言われたように、死後に名高い評価を経た作品。

 

短い断片の連続からなっており、生きることの不可解さ、不条理、諦念などがペシミスティックな文章で綴られる。

 

共感できる部分が多く「そう、そうだよ」と思ってしまう作品。

中二病っぽい感じがたまらない。

 

社会性なんてなんのその。

中二病最高!

【第90位】毛深い闇 園子温

毛深い闇

少女の眼から角膜を剥がす不可解な殺人事件。女刑事の娘・切子は母親より早く犯人に辿り着こうと悪魔画廊を探るが……

映画監督の園子温の小説。

映画監督だけあり、要点を抑えた疾走感のある展開で楽しめる。

後半の切子が走るシーンは特におすすめ。

【第89位】殺人出産 村田 沙耶香

殺人出産

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい―。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない…。三人での交際が流行する、奇妙な世界を描いた「トリプル」など、短篇3作も併録。普遍の価値観を揺さぶる挑戦的作品集。

10人子供を産んだら1人殺してもいい殺人出産制度ができた世界の話。

 男性でも人口子宮を取り付けることで、子供が産めるようになっている。

子供を産む人は「産み人」として崇められる。

同収録のトリプルは、3人でカップルになるのが若い子の間で流行る話。

 

作者は「クレイジー沙耶香」の異名を持ち、コンビニで働きながら小説を書く変わった小説家。

もしもの世界を設定して、今の世の中の当たり前とは何かを問いかける小説が多い。

2016年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞したよ。

【第88位】うつつ・うつら 赤染 晶子

うつつ・うつら

壊されてはならない。大切な言葉を、本当の名前を。彼女の名は「マドモアゼル鶴子」、場末の劇場で受けない漫談を演っている。外から流れこむ映画のセリフが漫才を損ない、九官鳥がくりかえす言葉は意味を失い、芸人たちは壊れていくが、鶴子は…。文學界新人賞受賞作「初子さん」収録。

「初子さん」と「うつつ・うつら」の2編を収録した小説。

「初子さん」はパン屋の2階に住みながら洋裁の仕事をしている女性の話。

仕事を頑張ってもお金が入らないいわゆるワーキングプアの状態にある。

 

「うつつ・うつら」は場末の劇場で漫談をするマドモアゼル鶴子という女性の話。

彼女はいつの日か映画女優にスカウトされる日を待って何十年も舞台に上がっている。

 

両作品とも、ただ普通に生活しているだけなのに、どうしてこんなにも生きるのは辛いのかという、日常の悲しさを感じさせる作品。

【第87位】論理と感性は相反しない 山崎ナオコーラ

論理と感性は相反しない (講談社文庫)

神田川歩美と真野秀雄は、つき合い始めた頃にときどきケンカした。真野の論理と、神田川の感性は、ぶつかり合いながらも共生の道を探っていくが……(表題作)。男と女、宇宙、音楽と文学、伊勢物語……それぞれの登場人物がオーバーラップして展開していく十四編。

表題の作品は神田川歩美と真野秀雄のカップルが一緒に住んで暮らすところから始まる。

特にこれといった出来事は起きないが、カップルの日常と心の動きを上手に描いている。

神田歩美の友人である矢野真由美は、山崎ナオコーラの分身ともいえる存在。

彼女は小説家「矢野アユミズ」としての自分と、個人「矢野真由美」としての自分のギャップや周りの反応に違和感を抱いている。

 

恋愛をしようとしても、異性に個人の自分としてではなく作家「矢野アユミズ」としか見てもらえない。

なんとかしたいが、自分の力ではどうしようもない。

そんな私小説っぽい部分もでてくる。

絲山秋子がエッセイで、自分の小説を読んでいる人とは絶対に付き合わないといって

いたが、小説家という特殊な職業の人間が抱える問題なのだろう。

 

ポップでユーモアと悲しさのある短篇集。

【第86位】詩羽のいる街 山本 弘

詩羽のいる街 (角川文庫)

 

あなたが幸せじゃないから──マンガ家志望の僕は、公園で出会った女性にいきなり1日デートに誘われた。確かにいっこうに芽が出る気配がない毎日だけど……。彼女の名前は詩羽。他人に親切にするのが仕事、と言う彼女に連れ出された街で僕が見た光景は、まさに奇跡と言えるものだった! 詩羽とかかわる人々や街が、次々と笑顔で繋がっていく。まるで魔法のように──幸せを創造する詩羽を巡る奇跡と感動の物語。

それぞれに問題を抱えている人たちが詩羽という女性に合うことで、自身の問題を解決して行く物語。

4つの章からなりそれぞれの登場人物から視点から詩羽の存在が語られる。

お金も家もないが、ソーシャル・キャピタルがやたら高い詩羽が、人々をつなげることによって問題を解決するというのが今っぽい。

 

経済やお金とは別の人的資本の価値を提案する岡田斗司夫の「評価経済」や坂口恭平の「態度経済」を体現したような存在。

一気に読める地域コミュニティ小説。

【第85位】金を払うから素手で殴らせてくれないか? 木下 古栗

金を払うから素手で殴らせてくれないか?

「おい鈴木、米原正和を捜しに行くぞ」とその米原正和が言った──。失踪した米原正和の行方を、当の米原とともに追う鈴木。会社を休んで、米原の自宅、立ち寄り先を米原をともに捜す。果たして、米原は見つかるのか?

小説の自由さを知りたければ、古栗の小説を読めばいい。

 

表題作は米原が会社にいなくなったので、米原が米原を探しに行くという話。

米原がいないかと、米原の家にいったり、銭湯や行って風呂を浴びたり、ショッピングモールをまわったり、フランス料理を食べたりする。

 

ナンセンス、不条理、下ネタ、何でもござれの小説集。

【第84位】嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 入間 人間

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり<嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん> (電撃文庫)

御園マユ。僕のクラスメイトで、聡明で、とても美人さんで、すごく大切なひと。彼女は今、僕の隣にちょこんと座り、無邪気に笑っている。リビングで、マユと一緒に見ているテレビでは、平穏な我が街で起こった誘拐事件の概要が流れていた。誘拐は、ある意味殺人より性悪な犯罪だ。殺人は本人が死んで終了だけど、誘拐は、解放されてから続いてしまう。ズレた人生を、続けなければいけない。修正不可能なのに。理解出来なくなった、人の普通ってやつに隷属しながら。―あ、そういえば。今度時間があれば、質問してみよう。まーちゃん、キミは何で、あの子達を誘拐したんですか。って。

嘘しか吐かない主人公みーくんと、みーくんにしか心を開かないまーちゃん。

ラブラブな2人が様々な事件に巻き込まれていく(巻き込んでいく?)ライトノベル。

 

ヤンデレ好きにはたまらないのではないだろうか。

実写化もされた小説。

 

あまりライトノベルを読まないのだが、一冊あげてみた。

明らかに西尾維新の「戯言シリーズ」の影響を受けてるよね、これ。

嘘だけど。

【第83位】ヴァリス フィリップ・K・ディック

ヴァリス〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫SF)

友人グロリアの自殺をきっかけにして、作家ホースラヴァー・ファットの日常は狂い始める。麻薬におぼれ、孤独に落ち込むファットは、ピンク色の光線を脳内に照射され、ある重要な情報を知った。それを神の啓示と捉えた彼は、日誌に記録し友人らと神学談義に耽るようになる。さらに自らの妄想と一致する謎めいた映画『ヴァリス』に出会ったファットは……。

主人公ファットはある日ピンクの光線を浴びて重要な秘密を知るようになる。

神の啓示だと考えたファットは、ノートに書き留め、教義としてまとめていく。

はたから見たら狂っているとしか言えないファットの神学談義がひたすら続く本。

作者ディック本人の考えが反映されていると言われている。

 

ディックは世俗的なものと高尚なものが入り混じったかと思うと、それらの関係性をひっくり返す作品が多い。

本作も、ファットが狂人になっただけだと考えていたら、ファットの妄想と一致した映画「ヴァリス」が公開されて、ファットの妄想は正しかったのか! って展開になる。

 

ヴァリスを読むと、阿部和重の「アメリカの夜」はこの本の影響を受けていることがよくわかる。

メタフィクション好きは是非。

【第82位】わたしがいなかった街で 柴崎 友香

わたしがいなかった街で (新潮文庫)

離婚して1年、夫と暮らしていたマンションから引っ越した36歳の砂羽。昼は契約社員として働く砂羽は、夜毎、戦争や紛争のドキュメンタリーを見続ける。凄惨な映像の中で、怯え、逃げ惑う人々。何故そこにいるのが、わたしではなくて彼らなのか。サラエヴォで、大阪、広島、東京で、わたしは誰かが生きた場所を生きている――。

離婚して契約社員として働く女性が主人公。

彼女は家に帰ると紛争や戦争のドキュメンタリー番組ばかりみてしまう少し暗い性格。

 

同じ時間に違う場所で起きている戦争と、同じ場所で起きた過去の戦争を重ね合わせながら日常を描いた物語。

 

時間と場所、2つのべクトㇽにこだわる作者の描く純文学小説。

【第81位】プレーンソング 保坂和志

プレーンソング (中公文庫)

うっかり動作を中断してしまったその瞬間の子猫の頭のカラッポがそのまま顔と何よりも真ん丸の瞳にあらわれてしまい、世界もつられてうっかり時間の流れるのを忘れてしまったようになる…。猫と競馬と、四人の若者のゆっくりと過ぎる奇妙な共同生活。冬の終わりから初夏、そして真夏の、海へ行く日まで。

保坂和志のデビュー作。

サラリーマンの主人公の家に、集まる人や猫との交流を描いた作品。

時にこれといった特別なことは起きない、日常を描いた作品。

 

保坂和志はストーリーというものは、読者を作品に引き止めるための要素の一つであって絶対に必要なものではないと考えていて、どこで終わってもいい小説として書かれている。

 

どこが面白いとは言えないが、確かに面白い小説。

【第80位】夏の闇 開高 健

夏の闇 (新潮文庫)

ヴェトナム戦争で信ずべき自己を見失った主人公は、ただひたすら眠り、貪欲に食い、繰返し性に溺れる嫌悪の日々をおくる……が、ある朝、女と別れ、ヴェトナムの戦場に回帰する。“徒労、倦怠、焦躁と殺戮"という暗く抜け道のない現代にあって、精神的混迷に灯を探し求め、絶望の淵にあえぐ現代人の《魂の地獄と救済》を描き、著者自らが第二の処女作とする純文学長編。

パリに滞在した小説家のわたしが、大学の研究者になった昔の恋人と一夏を過ごす話。

主人公はジャーナリストとして、ベトナム戦争を見ていて、戦争の悲惨さに絶望を感じて退廃的な気分に浸っている。

 

やることといったら、睡眠と食事と昔の恋人との情事くらい。

そんなわたしの心の変化を細かく描写している。

 

女が主人公のことを「うんこちゃん」と呼ぶのには笑えた。

ドロドロした雰囲気があるので、安部公房や大江健三郎が好きな人におすすめしたい。

【第79位】蠅の王 ウィリアム・ゴールディング

蠅の王 (集英社文庫)

原爆戦争勃発!イギリスから疎開する少年たちを乗せた航空機が、南太平洋の孤島に不時着した。戦争をよそに豊富な食糧に恵まれた無人島は大人のいない楽園にみえたのだが…。内部抗争から凄惨な闘争へ、漂流する少年たちは心の底にひそむ野性にめざめ、無益な殺戮をくり返す。極限状況のもとで獲得した新しい秩序とその崩壊をとおして、人間と社会のあり方を諷刺的に描く衝撃の名作。

飛行機が不時着して無人島に取り残された少年達の物語。

ジェーヌ・ヴェルヌの「十五少年漂流記」のオマージュ作品。

 

無人島の中でサバイバルするために仲間を集めて、秩序だったグループを作ろうとするが、次第に仲間同士が分裂し対立していく。

サバイバルもの。

 

この後の展開はどうなるのだろうというドキドキ感は素敵。

蝿の王との対話は圧巻。

【第78位】ヨハネスブルグの天使たち 宮内 悠介

ヨハネスブルグの天使たち (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ヨハネスブルグに住む戦災孤児のスティーブとシェリルは、見捨てられた耐久試験場で何年も落下を続ける日本製のホビーロボット・DX9の一体を捕獲しようとするが──泥沼の内戦が続くアフリカの果てで、生き延びる道を模索する少年少女の行く末を描いた表題作、9・11テロの悪夢が甦る「ロワーサイドの幽霊たち」、アフガニスタンを放浪する日本人が"密室殺人"の謎を追う「ジャララバードの兵士たち」など、国境を超えて普及した日本製の玩具人形を媒介に人間の業と本質に迫り、国家・民族・宗教・戦争・言語の意味を問い直す連作5篇。

日本製のホビーロボットDX9を中心に展開する短編小説5編。

ドロ沼の内戦の中で生き延びようとする少年と少女。

彼らは耐久試験の為に落下し続けるDX9を助けようとする、というのが表題作の話。

 

DX9は歌う能力があるロボット版ボーカロイドみたいなもの。

戦闘用に改造されて内紛地域に投入されるなど異なる国のそれぞれの短編で登場する。

伊藤計劃の虐殺器官、ハーモニーが好きな人におすすめ。

【第77位】象られた力 飛 浩隆

象られた力 kaleidscape (ハヤカワ文庫 JA)

謎の消失を遂げた惑星〈百合洋〉。イコノグラファーのクドウ圓は、その言語体系に秘められた"見えない図形"の解明を依頼されるが……"かたち"と"ちから"の相克がもたらす災厄を描いた表題作、双子の天才ピアニストをめぐる生と死の二重奏の物語「デュオ」ほか、初期中篇の完全改稿版全四篇を収めた傑作集。

表題作を含めた4編の短編小説。

「象られた力」は文字や記号などの図形言語がもたらす力をテーマにした作品。

 SFだが幻想的な雰囲気で、表現豊かな文章でイメージしやすく小説の景色が浮かんでくる。

重みのある短編群。

【第76位】時計じかけのオレンジ アントニイ・バージェス

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)

近未来の高度管理社会。15歳の少年アレックスは、平凡で機械的な毎日にうんざりしていた。そこで彼が見つけた唯一の気晴らしは超暴力。仲間とともに夜の街をさまよい、盗み、破壊、暴行、殺人をけたたましく笑いながら繰りかえす。だがやがて、国家の手が少年に迫る。スタンリー・キューブリック監督映画原作にして、英国の二十世紀文学を代表するベスト・クラシック。

キューブリックの映画が有名な小説。


不良グループのリーダー、アレックスが主人公。

こいつが本当にひどいやつで、棍棒でホームレスを殴ったり、強姦をしたりと好き放題する話。

まあ、後でしっぺ返しをくらうんだけど。

未来感を出すために登場人物がロシア語と英語を混ぜたスラングを使う。
日本語訳ではよくわからないけどね。

おかしな言葉を使っているのはわかるけど。

 

最終章が削除された小説と完全版があり、最終章が削除された小説が映画になったため著者は不満だったという話は有名。

 

ドラマにもなった小説「ビブリア古書堂の事件手帖」でも言及されてる。

映画版と小説版で比べてみるのも面白いかも。

【第75位】人間以上 シオドア・スタージョン

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

超能力を持つ5人の子どもたちが集まって、人間を超えた存在であるホモゲシュタルト(集団が集まって一つの人間を形成する集団人)となる物語。

 

コンピュータを並列につないで、仮想的に一つの大きなコンピュータとして扱うように、複数の人間をまとめて一つの新人類にするというポストヒューマン小説。

 

孤独な少年、少女たちが仲間を求め、出会い、成長していく青春小説とも言えるスタージョンの傑作。

【第74位】ここは退屈迎えに来て 山内 マリコ

ここは退屈迎えに来て (幻冬舎文庫)

そばにいても離れていても、私の心はいつも君を呼んでいる―。都会からUターンした30歳、結婚相談所に駆け込む親友同士、売れ残りの男子としぶしぶ寝る23歳、処女喪失に奔走する女子高生…ありふれた地方都市で、どこまでも続く日常を生きる8人の女の子。居場所を求める繊細な心模様を、クールな筆致で鮮やかに描いた心潤う連作小説。

R-18文学賞を受賞した「十六歳はセックスの齢」を含んだ連作短編集。

それぞれの短編をつなぐように、椎名という人物が登場する。

 

郊外にショッピングモールがあるどこにでもあるような街、そこで感じる閉塞感を描いている。

でもその閉塞感は自分で抜け出すほど絶望的でもない。

タイトルにもそれが現れている。

 

サブカルかぶれが都会から田舎に帰って、田舎の不満を語るのは確かにあるよなぁと自戒の念をこめて読める映画。

【第73位】工場 小山田 浩

工場

不可思議な工場での日々を三人の従業員の視点から語る新潮新人賞受賞作のほか、熱帯魚飼育に没頭する大金持ちの息子とその若い妻を描く「ディスカス忌」、心身の失調の末に様々な虫を幻視する女性会社員の物語「いこぼれのむし」を収録。働くこと、生きることの不安と不条理を、とてつもなく奇妙で自由な想像力で乗り越える三つの物語。

工場にパートとして働くことになった牛山桂子、仕事をクビになり派遣として日々文章を校正する牛山桂子の兄、工場の緑化計画のために、高級で雇われたが何をすればいいのかわからない古笛。

 

登場人物は工場の仕事に疑問を抱きながら、自身を納得させ仕事をこなす。

登場人物の疑問を嘲笑うように、不気味にそびえ立つ工場。


カフカの「城」のように、登場人物は工場の周辺をグルグルとまわるだけで核心にはたどり着かない。

仕事の不条理さを描いたプロレタリア小説。

【第72位】皆勤の徒 酉島 伝法

百メートルの巨大な鉄柱が支える小さな甲板の上に、“会社”は建っていた。語り手はそこで日々、異様な有機生命体を素材に商品を手作りする。雇用主である社長は“人間”と呼ばれる不定形の大型生物だ。甲板上と、それを取り巻く泥土の海だけが語り手の世界であり、そして日々の勤めは平穏ではない―第二回創元SF短編賞受賞の表題作にはじまる全四編。連作を経るうちに、驚くべき遠未来世界が読者の前に立ち現れる。

べっとりした独特の世界観が展開される超絶SF。

表題を含む4つの短編集。

 

表紙の絵も著者が書いている。

装丁のとおりの世界観。


表題作は、なんだか気持ち悪い生物がブラック企業で働かされている話。

短編を読んでいくうちに全ての話が繋がっていき、話の筋がみえてくる。

 

オンリーワンの異質な世界観をぜひ一度体験してほしい小説。

【第71位】猫を抱いて象と泳ぐ 小川 洋子

猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、いつしか「盤下の詩人」として奇跡のような棋譜を生み出す。

子供の体のままで成長が止まった、天才チェスプレイヤーがカラクリ人形の下に隠れてチェスをうつ話。

 

主人公リトルアリョーヒンの純粋さが素敵。

最初はタイトルの意味が全然わからないが、読んでみると納得。

 

静かな詩的世界観で展開する小川洋子の世界を堪能してほしい。

【第70位】わたしを離さないで カズオ・イシグロ

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

自他共に認める優秀な介護人キャシー・Hは、提供者と呼ばれる人々を世話している。キャシーが生まれ育った施設ヘールシャムの仲間も提供者だ。共に青春 の日々を送り、かたい絆で結ばれた親友のルースとトミーも彼女が介護した。キャシーは病室のベッドに座り、あるいは病院へ車を走らせながら、施設での奇 妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に極端に力をいれた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちの不思議な態度、そして、キャシーと愛する人々 がたどった数奇で皮肉な運命に……。彼女の回想はヘールシャムの驚くべき真実を明かしていく――

介護の仕事をしている主人公キャシーは「提供者」と言われる人たちの世話をしている。

 

物語はキャシーの子供の頃の回想にさかのぼり、次第に彼女がどういう立場の人間なのか明らかになっていく。

意識的に抑えられた文体が淡々と物語を紡いでいく静かな雰囲気をたたえた小説。

物語が進むにつれて、介護の仕事のグロテスクさと世界の不条理が明らかになる。

 

柴田友幸にカズオ・イシグロの最高傑作と言わしめた小説。

【第69位】ポーの話 いしいしんじ

ポーの話 (新潮文庫)

あまたの橋が架かる町。眠るように流れる泥の川。太古から岸辺に住みつく「うなぎ女」たちを母として、ポーは生まれた。やがて稀代の盗人「メリーゴーランド」と知りあい、夜な夜な悪事を働くようになる。だがある夏、500年ぶりの土砂降りが町を襲い、敵意に荒んだ遠い下流へとポーを押し流す……。

学生の頃に友達に借りて読んだ本。

 

うなぎ女の子どもとして生まれたポーが、泥の川をくだり、様々な冒険をする話。

エロチックな場面や盗みを覚えるところなど、純粋無垢な存在としてのポーが知識を得て成長していくのが楽しい。

 

いしいしんじの童話のような世界観と相まって、まったりとした気分にひたれる小説。

【第68位】リリイ・シュシュのすべて 岩井 俊二

リリイ・シュシュのすべて (角川文庫)

雄一は、中学一年の夏休み後、仲のよかった同級生から突然イジメの標的にされる。彼は、心の痛みをカリスマ的な存在である歌姫“リリイ・シュシュ”の世界で癒そうとする。そこだけが、自分の居場所であるかのように……。イジメ、万引き、援助交際……閉塞感に押しつぶされそうな日常と、そこから逃避してリリイ・シュシュのファンサイトに没頭する非日常の間で生きる十四歳。青春のダークサイドをリアルに描き出し、話題を呼んだ映画作品のもとになった、ネット連載小説の文庫化。

岩井俊二監督が映画化した作品の小説版。

元々、インターネットの掲示板に書かれて物語が進んでいった小説で、本書も全てネットの掲示板で書かれた形式で物語が進む。

ライトノベルっぽいかも。

 

小説と映画で話の筋が違うので映画を観た人も違いを比べると面白いよ。

【第67位】鳥類学者のファンタジア 奥泉 光

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

「フォギー」ことジャズ・ピアニストの池永希梨子は演奏中に不思議な感覚にとらわれた。柱の陰に誰かいる……。それが、時空を超える大冒険旅行の始まりだった。謎の音階が引き起こす超常現象に導かれ、フォギーはナチス支配下、1944年のドイツへとタイムスリップしてしまう――。めくるめく物語とジャズの魅力に満ちた、ファンタジー巨編。

奥泉光は夏目漱石のパロディを描いているだけあって、ユーモアのある文体が得意。

ジャズ好きなので、色々なキャラクターからジャズ話が語られる。

わたしはジャズに詳しくないが読んでいて特に問題はない。

 

ジャズ好きにはタイトルを見ただけでニヤッとするかもしれない時代を超えたファンタジー小説。

【第66位】キャプテンサンダーボルト 阿部 和重 伊坂 幸太郎

キャプテンサンダーボルト

人生に大逆転はあるのか?

小学生のとき、同じ野球チームだった二人の男。
二十代後半で再会し、一攫千金のチャンスにめぐり合った彼らは、
それぞれの人生を賭けて、世界を揺るがす危険な謎に迫っていく。

東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29と、
公開中止になった幻の映画。そして、迫りくる冷酷非情な破壊者。
すべての謎に答えが出たとき、動き始めたものとは――

現代を代表する人気作家ふたりが、
自らの持てる着想、技術をすべて詰め込んだエンターテイメント大作。

ターミネーターのようなスマホを操る怪人に追われながら、少年時代に友人同士だった2人が、中止の謎を解明していくミステリ要素ありのエンタメ小説。

 

純文学とエンタメのトップを走る、阿部和重と伊坂幸太郎の共著。

展開の早い小説で500ページほどあるがすぐに読める。

 

あと、今回のランキングは共著は、単著と別物として扱うことにするよ。

【第65位】ジーザス・サン デニス ジョンソン

ジーザス・サン (エクス・リブリス)

『ダンダン』―俺はダンダンから薬をもらおうと、農場まで出かけた。しかしダンダンは、銃で知り合いを撃ってしまったという。ブレーキの効かない車で、死にかけた男を医者まで送り届けるドライブが始まった。『仕事』―俺はホテルでガールフレンドとヘロインを打ちまくっていた。喧嘩をした翌朝、バーで金儲けの話に乗ることにした。空き家に押し入り、銅線を集めて、スクラップとして売る仕事だった。『緊急』―俺は緊急治療室で働きはじめた。ぶらぶらするか、雑役夫と薬を盗むしかなかった。深夜、目にナイフが刺さった男が連れられてきた。手術の準備中、雑役夫がそのナイフを抜いてしまった。最果てでもがき、生きる、破滅的な人びと。幻覚のような語りが心を震わす、11の短篇。

銃、ドラッグ、盗み、暴力。

アメリカの底辺にいるどうしようもない人々が描かれた11の短編集。

 

乾いた文体で悲惨な状況が語られるが、どこかユーモラスに感じてしまう。

こんなくそみたいな世界だけどしょうがないよね、といって諦念がみえる。

トムジョーンスやブコウスキー好きにはおすすめ。

【第64位】恋愛中毒 山本文緒

恋愛中毒 (角川文庫)

いつになったら、私は自由になれるのだろう。

世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。もう他人を愛さないと決めた水無月の心に、小説家創路は強引に踏み込んで――

恋愛に没頭するあまりに、過剰な行動に出てしまう女性を描いた小説。

真面目な女の人ほど、一度行動に出ると激しい行動をとってしまうのかもしれない。

 

恋愛小説であり、ホラー小説でもある。

 

女性に是非読んで欲しい本。

吉川英治文学新人賞受賞作。

【第63位】幽霊たち ポール・オースター

幽霊たち (新潮文庫)

私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー…。

ポールオースターの初期作品、ニューヨーク三部作の二作目。

三部作といってもそれぞれの小説に繋がりはないのでどれから読んでも問題ない。

私立探偵ブルーはホワイトからブラックを見張るように依頼されるのだが、ブラックは何も不審な行動をおこさない。

なぜブラックを見張るのか? ホワイトはなにも教えてくれない。

何もしないブラックを見張ることに次第に不安になっていくブルー。

 

探偵小説の皮を被ったポストモダン小説。

見られることによってしか他人は存在しないのか? とか色々考えさせられる作品。

 

話がそれるが佐藤友哉の「クリスマステロル」はポール・オースターの「幽霊たち」と「鍵のかかった部屋」のパロディになっている。

 

これを読んでからテロルを読むと一層楽しめるよ。

【第62位】すべてがFになる 森 博嗣

すべてがFになる (講談社文庫)

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。

わたしがミステリー小説を読むようになったきっかけの本。

理系ミステリーの走りになるのではないだろうか。

今作品が森博嗣のデビュー作だが、本当は犀川創平と西之園萌絵が活躍するS&Mシリーズの4作目に書かれた作品。

一番インパクトの強い作品を持ってきてデビュー作としたようだ。

S&Mシリーズは助教授の犀川と、犀川の研究室の学生、西之園が事件にあって解決していくミステリ小説。

 

ミステリとしても楽しめるが、キャラクター同士の会話のやりとりや、鈍い犀川に好意を抱いている西之園の恋の行方がどうなるのかといったところも楽しい小説。

【第61位】神は死んだ ロン カリー ジュニア

神は死んだ (エクス・リブリス)

「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬へのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす「ねじれ」の諸相に、斬新な語りとポップな感性で切り込む。全米で話題騒然の新人による、異色の9篇を収めた連作短篇集。

ニーチェの有名な言葉がタイトルの本書だが、内戦地域にあらわれた神が比喩ではなく本当に死んでしまう。


神が死んだ世界で巻き起こる、集団自殺、新しい信仰の勃興、思想の対立が描かれる。

犬が神の肉を食べて人間の言葉をしゃべる話はブッツァーティの「神を見た犬」の反転させたパロディなのか? と思ってしまった。

 

アメリカの注目の若手作家の処女小説。

【第60位】ボラード病 吉村 萬壱

ボラード病

生れ育った町が忘れられず、人々は長い避難生活から海塚に戻ってきました。心を一つに強く結び合い、「海塚讃歌」を声を合わせて歌い、新鮮で安全な地元の魚を食べ、ずっと健康に暮らすことができる故郷―。密かにはびこるファシズム、打ち砕かれるヒューマニズム。批評家を驚愕・震撼させた、ディストピア小説の傑作。

主人公恭子は母親と二人で海塚という町に住んでいる。

海塚は以前災厄にあったため、住民は避難生活を送っていたが、ようやく町に戻れるようになった。

 

読んでいくと少しづつ町がおかしな事になっていることに気がつく。

母親は他人の目を極端に気にしている。

同級生が突然死ぬ。

しかし、同級生が死んでも、みんな驚かない。
なんで?


震災文学の傑作といえる、現代のディストピア小説。

【第59位】モレルの発明 アドルフォ ビオイ・カサーレス

モレルの発明 (フィクションの楽しみ)

二つの太陽、二つの月が輝く絶海の孤島での「機械」、「他者性」、「愛」を巡る謎と冒険。

絶海の孤島にたどり着いた主人公はそこで暮らしている人々に出会う。

しかし彼らは自分のことを無視し、いないかのように振る舞う。

盟友ホルヘ・ルイス・ボルヘスが完璧な小説と絶賛した本。

 

ビオイ=カサーレスとボルヘスは共著も出している仲良しさんなので多少誇張はあるかもしれないが、面白いのは間違いない。

 

他者性とはなにかをあぶり出す作品。

【第58位】ペドロ・パラモ フアン・ルルフォ

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

ペドロ・パラモという名の、顔も知らぬ父親を探して「おれ」はコマラに辿りつく。しかしそこは、ひそかなささめきに包まれた死者ばかりの町だった……。生者と死者が混交し、現在と過去が交錯する前衛的な手法によって紛れもないメキシコの現実を描き出し、ラテンアメリカ文学ブームの先駆けとなった古典的名作。

父親を探してたどり着いた町コモラは死者たちの町だった。

死者が生者に話しかけ、お互いの境界が曖昧になっていくラテンアメリカの先駆け的な作品。

 

メキシコは死者の日に祭りをひらいて、骸骨を飾るなど、日本よりも直接的に死と生が生活に根付いている。

死者が生者に話しかけるのは当たり前のことなのかもしれない。

ラテンアメリカ文学の巨匠ガルシア・G・マルケスに人生が変わったと言わせた本。

ぜひ読むべき。

【第57位】箱男 安部 公房

箱男 (新潮文庫)

ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。

わたしが小説を読むきっかけになった本。

 

学生の頃に、友人に借りて読んだ。

中年のおっさんが、ダンボール箱をかぶって生活する話。

 

テレビ番組「電場少年」で箱に入って生活して、人に箱を押してもらう企画があったがそれの元ネタ。

ダンボールの中で生活することは社会的弱者であると同時に、他人に姿を見られない

状態で一方的にこちらから他人を覗き込むことができるという意味で強者でもある。

なんかネット民みたいだね。

 

安部公房のドロドロした世界観がたまらない作品。

【第56位】氷 ウラジーミル ソローキン

氷: 氷三部作2 (氷三部作 2)

2000年代初頭のロシア―酒とドラッグに溺れるモスクワ大学の学生ラーピン、売春で日銭を稼ぐ愛くるしいブロンド娘ニコラーエワ、極上のスーツを身につけた知的な中年男ボレンボイム。金髪碧眼の一味に捕らわれた彼らの胸に青い氷のハンマーが振り下ろされる。そして彼らは不思議な「真の名」を語りはじめる。戦争と虐殺と謀略の20世紀を舞台に、「原初の光」の再生を目指すカルト集団の物語―。

ロシアの現代作家ウラジミール・ソローキンの氷三部作の二作目。

二作目だが一番最初に刊行されている。

 

現在は 三作すべて翻訳されているので、ブロの道から順番に読んでもいいかもしれない。

過去のソローキン作品は反復を使ったアンチ・ロマンの小説が多いが、この小説はエンタメ作品の方向に進んでいる。

 

氷のハンマーを心臓に突き立てることで同士を探すカルト集団の物語。

カルト集団の目的のためにまだ目覚めてない同士を集めていく。

【第55位】愉楽 閻 連科

愉楽

真夏に大雪が降った年、障害者ばかりの僻村・受活村では、レーニンの遺体を購入して記念館を建設し、観光産業の目玉にするという計画が始動する。その資金を調達するため、村人たちの中から超絶技能を持った者が選抜され、旅の一座を結成する。飛ぶように走る片脚の青年、下半身不随の刺繍の名手、微かな音も聞き分けるめくらの少女…。激動の20世紀を背景に繰りひろげられる狂躁の日々。想像力と現実が混淆する魔術的物語。中国社会の矛盾を撃つ笑いと涙の大長篇。フランツ・カフカ賞受賞。

スターリンの死体を購入して、山の上の記念館に安置して観光名所にしようと考える県長。

スターリンの遺体を購入する資金を稼ぐために、障害者だけの村、受活村の人々を利用しようと考える。

 

トンデモ話が次々に展開する中国のマジック・リアリズム小説。

広島弁で展開される小説は、ラテンアメリカ文学とはまた違った味わいが楽しめる。

【第54位】アブサロム、アブサロム! フォークナー

アブサロム、アブサロム!(上) (岩波文庫)

九月の午後、藤の咲き匂う古家で、老女が語り出す半世紀前の一族の悲劇。一八三三年ミシシッピに忽然と現れ、無一物から農場主にのし上がったサトペンとその一族はなぜ非業の死に滅びたのか?南部の男たちの血と南部の女たちの涙が綴る一大叙事詩。

 突如ジェファスンに現れたトマス・サトペンという人間の成り上がり物語。

 

彼は地元のインディアンから土地を買い、プランテーションを作り、後継者を残すために、地元商人の娘と結婚する。

サトペンという人間について様々な人達が語り、サトペンの人物像が徐々に肉付けされていく。

羅生門のように話し手によって、彼に対する印象が違っており、その中でサトペンという人物を浮かび上がらせてく。

 

物語の聴き手である、クウェンティンと彼の一族は「響きと怒り」にも登場する。

 

南部アメリカを舞台にしたヨクナパトーファ・サーガを完成させたフォークナーの代表作の一つ。

【第53位】虚人たち 筒井康隆

虚人たち (中公文庫)

同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死の捜索に出るが…。小説形式からのその恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作。泉鏡花賞受賞。

この小説は、主人公が同時に別々に誘拐された妻と娘を助けるため息子ともに捜索に出るというのが大まかな話の筋だ。

この小説のおかしなところは、主人公が「自分は小説の登場人物である」と自覚しているメタフィクションである点。

そのため、なんでもないことでも「これは何かの意味があるのではないか?」と深読みしてしまう。

 

小説の物語の外には空白が広がるだけであることを主人公は知っており、主人公が語ることで、小説の舞台がうまれ物語が進んでいくが、主人公がそのことを自覚しているのでめんどくさいことになる。

筒井康隆ワールド全開の虚構小説。

【第52位】ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ケイスは、コンピュータ・カウボーイ能力を奪われた飢えた狼。だが、その能力を再生させる代償に、ヤバイ仕事をやらないかという話が舞いこんできた。きな臭さをかぎとりながらも、仕事を引き受けたケイスは、テクノロジーとバイオレンスの支配する世界へと否応なく引きずりこまれてゆく。

サイバーパンクSFの古典。

電脳空間(サイバースペース)という言葉が生まれた記念すべき作品。

マトリックスや攻殻機動隊の元ネタになる作品であり、中国を思わせる漢字の並ぶ雑多な屋台が並ぶイメージもここからきている。

 

コンピュータにジャックインする能力を奪われた主人公ケイスが能力を取り戻すために、ヤバイ仕事を引き受けるところから物語は始まる。

ヒロインの女サイボーグモリィが最高にかっこいい。

 

続編の「カウントゼロ」、「モナリザ・オーヴァドライヴ」は絶版になっているた

め、ぜひ再販してほしい。

【第51位】夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

初めて読んだ森見作品。

森見登美彦の独特の古風な昭和軽薄調の言い回しがくせになる。

 

口だけは達者なダメダメ大学生が不思議ちゃんの黒髪の乙女をストーキングする。

出て来るキャラクターが強烈で、インパクト大。

 

森見登美彦は文章を読んでいて笑ってしまう数少ない稀有な作家。

小説を読んでいてニヤニヤしてしまう。

周りから気持ち悪がられるので注意しよう。

【第50位】図書館の魔女 高田 大介

図書館の魔女(上)

鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった―。ファンタジー界を革新する大作、第45回メフィスト賞受賞作。

少年キリヒトは図書館に住む「高い塔の魔女」マツリカの司書として働くため、家を出る。

政治的にも影響力をもつ恐ろしい魔女マツリカは実は少女だった。

ボーイミーツガールの東洋ファンタジー小説。

 

著者の専門分野が印欧後比較文法・対象言語学という難しそうな分野。

言語に関する話をマツリカが語るがこれには納得。

 

上下巻で1300ページぐらいある。

ファンタジーに浸りたいならおすすめ!

続編というかシリーズものもあるよ。

【第49位】完璧な涙 神林 長平

完璧な涙 (ハヤカワ文庫JA)

生まれてから一度も、怒ったり喜んだり悲しんだりしたことのない少年、本海宥現。家族との感情の絆を持たない宥現は発砲事件にをきっかけとして、砂漠の旅に出た。砂漠には、街に住むことを拒絶する人々、旅賊がいる。夜の砂漠で、火を囲み、ギターをかき鳴らし、踊る旅賊の中に、運命の女・魔姫がいた。だが、突如、砂の中から現われた、戦車のような巨大なマシーンが、宥現と魔姫の間を非情にも切り裂く。それは、すべてのものを破壊しつくす過去からの殺戮者だった…。未来と過去の争闘に巻き込まれていった少年・宥現を描く本格SF。

感情のない少年が、遺跡から発掘された機械生命体の戦車に敵と認識されて、追われながら旅をする物語。

過去と未来の時間軸が入り乱れる傑作感動SF。

 

神林長平は大御所のSF作家で作品が多いが、まずこの本から読むことをおすすめしたい。

完璧な涙というタイトルの意味は読めばわかるよ。

【第48位】わたくし率 イン 歯ー、または世界 川上 未映子

わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯―人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた“わたし”は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。

わたしは脳で考えているのではなく、奥歯で考えているのではないか? といった問いを投げかける変わった女性の物語。

テンポの良いリズミカルな関西弁で綴られた小説。

 

川上未映子は哲学者の永井均の影響を受けているらしく、わたしとはなにか? を問うことがベースにあるように思う。

このデビュー作にはそういう自我に対する意識が色濃く現れているように思う。

思索的な小説。

【第47位】掏摸 中村 文則

掏摸(スリ) (河出文庫)

東京を仕事場にする天才スリ師。
ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎、かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」
----運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。
そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは……。

その男、悪を超えた悪----絶対悪VS天才スリ師の戦いが、いま、始まる!!

スリをして生計を立てている、天才スリ師の話。

東京でひと目を避けながら生活していたが、絶対悪を象徴するような存在、木崎という人物に依頼を頼まれる。

 

抗えない運命というものがあったとして、それにどうやって抵抗していくのかを考えてしまった。

スリリングな展開で文体も読みやすい。

 

大江健三郎賞受賞作で海外からの評価も高い作品。

【第46位】小銭をかぞえる 西村 賢太

小銭をかぞえる (文春文庫)

女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」を併録。新しい私小説の誕生。

今時、私小説は流行らないと言われているところに投入された現代のデカダンス私小説。

もてない主人公に彼女ができて、同棲をはじめるが主人公の狭量さに次第に険悪な雰囲気になっていく。

 

主人公のクズっぷりが爽快すぎて笑える。
好きな人は好きだろうが、イラっとする人もいるかもしれないので、はっきりと好みが分かれる。

 

女性に読んでもらって感想を聞いてみたい作品。

【第45位】虐殺器官 伊藤 計劃

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)

9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?現代の罪と罰を描破する、ゼロ年代最高のフィクション。

2007年にデビューして2009年に早逝した天才伊藤計劃のデビュー作。

メタルギアソリッドのファンでもありノベライズも書いているだけあり、ハードボイルドな戦争小説。

この後に続編の「ハーモニー」を読んでほしい。

 

伊藤計劃の小説「虐殺器官」、続編である「ハーモニー」、遺作を円城塔が書き上げた「屍者の帝国」は映画化もされているよ。

【第44位】恋する原発 高橋 源一郎

恋する原発

―表現の自由をかけた過激な言葉の羅列。原発事故がもたらした日本の混乱に鋭く切り込み、私たちが人間であるために、そして、人間である意味を問う、愛と悲しみの超エンターテインメント―

東日本大震災が起こった後に原発事故に真っ先に反応してかかれた小説。

震災の後に、チャリティーAVを作ろうと売れないAV監督が奔走する下ネタ満載の馬鹿話。

不謹慎なと言われるかもしれないが、当時の重苦しい雰囲気の中でこの作品を出した作者はすごいと思う。

 

途中に突然、挟まれる震災文学論では、風の谷のナウシカと震災が結び合わせて語られる評論っぽい展開になる。

 

日本を代表するアヴァン・ポップ作家の面白小説。

【第43位】烈しく攻むる者はこれを奪う フラナリー・オコナー

烈しく攻むる者はこれを奪う

アメリカ南部の深い森の中、狂信的な大伯父に連れ去られ予言者として育てられた少年の物語。

南部アメリカの森の中で、狂信者の祖父と一緒に暮らし、預言者として育てられた少年ターウォーター。

彼は祖父の狂信者としての教えと、自身の感情に揺さぶられながら生きていく。

人とは違う育てられ方をした人間の孤独を描いた作品。

 

この本の出版された翌年ににサリンジャーの「フラニーとゾーイー」が出版されている。
人とは違う育てられ方をして悩む点は、同じだが、フラニーには兄弟であるゾーイーが傍にいた。

反面ターウォーターには自分を理解してくれる人はいなかった。

 

そういう意味では「裏フラニーとゾーイー」と言える作品。

【第42位】オスカー・ワオの短く凄まじい人生 ジュノ・ディアス

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)

オスカーはファンタジー小説やロールプレイング・ゲームに夢中のオタク青年。心優しいロマンチストだが、女の子にはまったくモテない。不甲斐ない息子の行く末を心配した母親は彼を祖国ドミニカへ送り込み、彼は自分の一族が「フク」と呼ばれるカリブの呪いに囚われていることを知る。独裁者トルヒーヨの政権下で虐殺された祖父、禁じられた恋によって国を追われた母、母との確執から家をとびだした姉。それぞれにフクをめぐる物語があった―。

女の子に全くもてないナード青年オスカーを主人公に彼の一族の呪いフクの存在をめぐる物語が展開する。

ドミニカ共和国の独裁者トルヒーヨの残虐性を描きつつ現在までのオスカーの一族を描くマジックリアリズム。

 

マクロスやスター・ウォーズ、アメコミなどのオタクネタがいっぱいちりばめられた国境を越えた小説。

【第41位】長いお別れ レイモンド・チャンドラー

長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))

私立探偵フィリップ・マーロウは、ふとした友情から見も知らぬ酔漢テリーを二度も救ってやった。そして彼はテリーの殺害容疑を晴らす為に三たび立ち上るのだった! ハードボイルド派の王座を占めるチャンドラーが五年間の沈黙を破り発表した畢生の傑作、一九五四年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作

私立探偵のフィリップ・マーロウは偶然知り合った、無職の男テリー・レノックスと仲良くなるが、彼の妻が殺され、テリー・レノックスにメキシコに逃がしたくれと依頼される。

 

ハードボイルド小説の原型ともいうべき作品。

探偵フィリップ・マーロウの渋い名言が満載の古典ミステリ小説。

「さよならをいうのは、少し死ぬことだ」

ひゅー!

【第40位】ソラリス スタニスワフ・レム

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。

SFの古典小説。

タルコフスキーとソダーバーグによって映画化もされている。

 

惑星ソラリスに異常があるため、心理学者のケルヴィンがソラリスに向かうが、ソラリスの科学者たちは口を頑なにして、状況を何も説明してくれない。

そんな中、自殺した恋人であるハリーが目の前に現れる。

 

ケルヴィンがハリーから逃れようとしても、何度も何度も現れる。

まじホラー。

 

森見登美彦の「ペンギン・ハイウェイ」や、上田 岳弘の「太陽・惑星」に影響を与えている傑作。

【第39位】紙の民 サルバドール プラセンシア

紙の民

登場人物たちを上空から見下ろす作者=《土星》。頁の上で繰り広げられる《対土星戦争》の行方は? メキシコの若手による傑作長篇。

土星(作者のこと)に常に見られていることに気がついた登場人物が土星に戦争を仕掛けるメタフィクション小説。

 

機械の身体を持つキカイガメ、紙で作られた紙の民、聖痕をもつ聖人プロレスラー、預言者の赤ちゃんなど縦横無尽の想像力が入り混じるマジックリアリズム小説。

 

文章が途中で読めなくなったりするヴィジュアルブックのような要素もある。

こちらはスターンの「トリストラム・シャンディ」のオマージュか。

 

作者はガルシア・マルケスの「百年の孤独」を何度も読み返したという。

納得。

【第38位】月は無慈悲な夜の女王 ロバート・A. ハインライン

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 1748)

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取され続けてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには……ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。

月が独立するため地球に対して戦争を挑む物語。

 

どこかで聞いたことがあると話だと思った人はご名答。

ガンダムの元ネタになっている話。

モビルスーツこそ出てこないが、農業用のカタパルトで地球に岩を射出するところはコロニー落としそのもの。

 

「フリーランチはない」という言葉はあまりにも有名。

ハインラインの作品は「夏の扉」よりも断然こちらをお勧めする。

タイトルがかっこいい古典名作SF。

【第37位】拳闘士の休息 トム・ジョーンズ

拳闘士の休息 (河出文庫 シ 7-1)

心身を病みながらも疾走する主人公たち。冷酷かつ凶悪な手負いの獣たちが、垣間みる光とは。

ベトナム戦争でPTSDになった軍人や、癌で死にそうになっている女患者などを描いた短編小説集。

 

生きていても仕方のない地獄のような世の中でどうにかして生きている人物を描いた作品集。

ニーチェやショーペンハウエル好きにはおすすめ。

 

舞城王太郎はこの作品に影響を受けていると思われる。

2作目の「コールドスナップ」も翻訳してるしね。

 

岸本佐知子の翻訳は秀逸。

彼女の翻訳している小説はどれも面白いのでおすすめ。

あと妄想前回のエッセイも面白い。

【第36位】SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと チャールズ・ユウ

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

「僕」はタイムマシンの修理とサポートを担当する技術者で、個人用タイムマシンに乗って時間のはざまを漂っている。あるとき、僕はタイムマシンから出てきた「もうひとりの自分」を光線銃で撃ってしまった……。

時間の流れない空間でタイムマシンを修理する仕事をする僕。

友達は非実在犬のエドと女性の声で話しかけるコンピュータのタミーだけ。

そんな半分引きこもりの生活をしていた主人公はタイムマシンで登場した未来の自分を撃ってしまう。

未来に自分が撃たれるとわかっている主人公は自分を救うために行動に出る。

円城塔が翻訳した小説。

SF要素に失踪した父との家族の関係を描いた小説。

【第35位】全滅脳フューチャー! ! ! 海猫沢 めろん

全滅脳フューチャー! ! !  (幻冬舎文庫)

90年代、地方都市「H市」。美少女アニメとゲームとマンガがちょっと好きな18歳の「ぼく」は、トラックで職人を轢き殺そうとして工場をクビになり、はずみで新しくオープンするホストクラブで働くことになる。そこにいたのはホストとはかけ離れたシャブ中のチンピラ「シンさん」だった……。自身の経験を赤裸々に描いた自伝的青春小説!

元ホストでオタクの作者の自伝的小説。

腹が立った相手をトラックでひき殺そうとしたり、「ぼく」に女の子が好意を寄せているのに気づかずにオタク話しかしないところとか、成熟してない若いころの痛い話が満載の青春小説。

 

著者の海猫沢めろんさんは「文化系トークラジオLife」にも出演していて毎回面白いコメントをしてくれるイケメン小説家である。

【第34位】別荘 ホセ ドノソ

別荘 (ロス・クラシコス)

とある小国の経済を牛耳るベントゥーラ一族の人びとが毎夏を過ごす辺境の別荘。ある日、大人たちが全員ピクニックに出かけ、別荘には33人のいとこたちだけが取り残された。日常の秩序が失われた小世界で、子どもたちの企みと別荘をめぐる一族の暗い歴史が交錯し、やがて常軌を逸した出来事が巻きおこる…。チリの巨匠ホセ・ドノソの、『夜のみだらな鳥』と並ぶ代表作にして、二転、三転する狂気をはらんだ世界が読む者を眩惑する怪作、待望の邦訳!!1973年チリ・クーデタに触発されたドノソが、類い希なる想像力を駆使し、偏執的とさえいえる緻密な構成で書き上げた、理屈抜きに面白い傑作。後続する作家や世界の批評家たちを今なお魅了しつづける、ラテンアメリカ文学の金字塔。

ラテンアメリカ文学の立役者の待望の邦訳作品。

 

別荘に残された金持ち一族の子供たちのドタバタ劇。 

舞台が別荘の中という限られた空間の中にも関わらず、別荘の外にいると言われる人喰い人種、子供たちを抑え込もうとする執事との対立、別荘の奥にある秘密の部屋など目が離せない展開。

 

1978年に書かれたとは思えない面白さ。

訳がいいのかな。

ぜひ読んどいて。

【第33位】四十日と四十夜のメルヘン 青木 淳悟

四十日と四十夜のメルヘン (新潮文庫)

配りきれないチラシが層をなす部屋で、自分だけのメルヘンを完成させようとする「わたし」。つけ始めた日記にわずか四日間の現実さえ充分に再現できていないと気付いたので……。新潮新人賞選考委員に「ピンチョンが現れた! 」と言わしめた若き異才による、読むほどに豊穣な意味を産みだす驚きの物語。綿密な考証と上質なユーモアで描く人類創世譚「クレーターのほとりで」併録。

チラシ配りの仕事をしている主人公が、家に持ち帰ったチラシの裏に7月4日~7月7日の日記をひたすら書いていく話。

そのたびに少しづつ日記の内容も変わっていく。

 

グーテンベルクの印刷技術で複製が可能になった世界の文字をごちゃまぜに重ねていったり、書くたびに話が変わっていき、書かれた物語と何なのかを問うような仕組みになっていたり、読者の想像力を刺激する作品。

あらすじを説明しようとしても不可能なので自身で読んで楽しんでほしい。

面白いよ!

【第32位】逃亡くそたわけ 絲山秋子

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

「どうしようどうしよう夏が終わってしまう」軽い気持ちの自殺未遂がばれ、入院させられた「あたし」は、退屈な精神病院からの脱走を決意。名古屋出身の「なごやん」を誘い出し、彼のぼろぼろの車での逃亡が始まった。道中、幻聴に悩まされ、なごやんと衝突しながらも、車は福岡から、阿蘇、さらに南へ疾走する。

精神病院を脱出した男女の患者のドタバタ逃走劇。

 

幻聴の聞こえる自殺未遂の女性と、名古屋出身で東京をやたらもちあげる男が九州を車で横断する。

逃亡劇だが切羽詰まった感じではなく、ゆる~い雰囲気。

男女が恋人同士ではないのが面白い。

 

絲山秋子は簡潔で鋭い文体が特徴。

他の作品もおすすめの作家さん。

【第31位】屍者の帝国 伊藤 計劃/円城塔

屍者の帝国 (河出文庫)

屍者復活の技術が全欧に普及した十九世紀末、医学生ワトソンは大英帝国の諜報員となり、アフガニスタンに潜入。その奥地で彼を待ち受けていた屍者の国の王カラマーゾフより渾身の依頼を受け、「ヴィクターの手記」と最初の屍者ザ・ワンを追い求めて世界を駆ける―

伊藤計畫が最初の章を書き、その後、円城塔が引き継いだ小説。
フランケンシュタインによって、屍者を蘇生させる技術が確立された世界。

 

主人公のワトソンは政府の諜報機関から、屍兵部隊を率いて「屍者の帝国」をつくったカラマーゾフの行動を調査するように言われる。

小説好きならこのあらすじを聞いただけで読みたくなるような小説。
カラマーゾフってあのカラマーゾフなの!? って感じで。

実在の人物や小説の人物が登場し入り交じるパスティーシュ小説。

【第30位】ものすごくうるさくて、ありえないほど近い ジョナサン・サフラン・フォア

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

「パパがどんなふうに死んだか知る必要があるんだ」「なぜ?」「そしたらどんな死に方をしたか発明しなくてもよくなるから」9.11の物語。

9.11テロで父親を亡くした少年オスカーが はある日、見たことのない鍵を見つける。

 

.鍵は父親からのメッセージと考え、オスカーは謎を解くため、言葉を喋れない老人とニューヨークの街に出る。

映画化もされた作品だが、映画では触れられていない祖母の過去の話などが書いてあり、多層構造になっていることがわかるため原作を読むことをおすすめする。

 

素敵な成長譚。

【第29位】1000の小説とバックベアード 佐藤 友哉

1000の小説とバックベアード (新潮文庫)

二十七歳の誕生日に仕事をクビになるのは悲劇だ。僕は四年間勤めた片説家集団を離れ、途方に暮れていた。(片説は特定の依頼人を恢復させるための文章で小説とは異なる。)おまけに解雇された途端、読み書きの能力を失う始末だ。謎めく配川姉妹、地下に広がる異界、全身黒ずくめの男・バックベアード。古今東西の物語をめぐるアドヴェンチャーが、ここに始まる。三島由紀夫賞受賞作。

特定の個人に向けて、物語を作る仕事「片説家」の仕事をしていた主人公は仕事をクビになる。

そんな彼のもとに小説を書くように依頼する人物があらわれる。

 

小説という作家の実存にかかわるテーマを取り扱いながら、エンターテイメント作品に仕上がっている。

三島由紀夫賞受賞作。

ちなみに佐藤友哉の奥さんは同じ小説家の島本理生らしい。

お互い自分の部屋でタイピングして小説をかいてるんだろうか。

【第28位】くっすん大黒 町田 康

くっすん大黒 (文春文庫)

大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載

町田康のデビュー作。

町田康は町田町蔵の名前で、INUというバンドもやっていたパンクロッカー。

沈黙期間を経て書かれたのがこのくっすん大黒だ。

主人公が仕事を辞めて呑んだくれてたら、妻が出て行って部屋が汚くなっていき、家に置いてあった邪魔な大黒を捨てにいくところから話は始まる。

 

大阪のおばちゃんのようなマシンガントークで繰り広げられる駄目人間のドタバタ劇。

 

町田康の作品はニッチもサッチもいかなくなって仕方ないから笑ってしまう、そんな笑いに満ちている。

おすすめ。

【第27位】悲鳴伝 西尾 維新

悲鳴伝 (講談社ノベルス)

彼の名は空々空。どこにでもいない十三歳の少年。風変わりな少女、剣藤犬个が現れたとき、日常かもしれなかった彼の何かは終わりを告げた。ひどく壮大で、途轍もなく荒唐無稽で、しかし意外とよく聞く物語は、そんな終わりを合図に幕を開ける。人類を救うため巨悪に立ち向かう英雄は、果たして死ぬまで戦うことができるのか!?

2012年、超常現象である「大いなる悲鳴」により、全人類の3分の1が死亡。

2013年、何事にも動じない少年空々空(そらからくう)は、大いなる悲鳴は地球の仕業であり、地球を倒すために地球撲滅軍に入らないかと誘われる。

西尾維新は多作のためいろいろ作品がある。

デビュー作の「クビキリサイクル」を含めた戯言シリーズと悩んだが、現在進行中のこちらのシリーズをチョイスした。

 

個性的なキャラクターの饒舌は西尾維新の真骨頂。

化物語をアニメで観ただけの人も是非読んでほしい。

【第26位】空白を満たしなさい 平野 啓一郎

空白を満たしなさい

 

ある日、勤務先の会社の会議室で目覚めた土屋徹生は、自分が3年前に死亡したことを知らされる。死因は「自殺」。しかし、愛する妻と幼い息子に恵まれ、新商品の開発に情熱を注いでいた当時の自分に自殺する理由など考えられない。じつは自分は殺されたのではないか。とすれば犯人は誰なのか、そして目的は? 記憶から失われた自らの死の謎を追求していく徹生が、やがてたどりついた真相とは・・・? ミステリー仕立てのストーリーを通し、自殺者3万人を超える現代の生と死、そして幸福の意味を問う傑作長編小説!講談社現代新書『私とは何か 「個人」から「分人」へ』と併せて現代のテーマに向き合う注目作。

死んだ人間がある日、一斉に蘇ったらどうなるのか?

という思考の元に描かれた小説。

 

わたしは主人公よりも、主人公に対立するように現れる、警備員佐伯の投げ返る呪詛のような言葉に共感した。


著者の平野啓一郎が提唱する「分人」という概念がドーンに引き続き登場する。

平野啓一郎は綺麗な文語体の文章を書く作家なので、三島由紀夫が好きな人にはおすすめ。

【第25位】ニルヤの島 柴田 勝家

ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

人生のすべてを記録し再生できる生体受像(ビオヴィス)の発明により、死後の世界という概念が否定された未来。ミクロネシア経済連合体(ECM)を訪れた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の船を作る老人と出会う。この南洋に残る「世界最後の宗教」によれば、人は死ぬと「ニルヤの島」へ行くという――生と死の相克の果てにノヴァクが知る、人類の魂を導く実験とは? 新鋭が圧倒的な筆致で叙述する、第2回SFコンテスト大賞受賞作。

死後の世界の概念がなくなった世界。

文化人類学者のイリアス・ノヴァクは死後の世界と宗教の概念が残る地域に訪れる。

死後の世界を扱った文化人類学SF小説。

 

ミーム(模倣子)が出てくるので、「ミームマシーンとしてのわたし」を読んどけば尚楽しめる。

ミームの概念がわからなくても本書を読めば理解できると思う。

 

4つのパートが入れ替わり展開していき最後に収束する群像劇小説。

【第24位】スタッキング可能 松田 青子

スタッキング可能

『あなた』と『わたし』は交換可能?
5階A田、6階B野、4階C川、7階D山、10階E木……似ているけれどどこか違う人々が各フロアで働いているオフィスビル――女とは、男とは、社会とは、家族とは……同調圧力に溢れる社会で、それぞれの『武器』を手に不条理と戦う『わたしたち』を描いた、著者初の小説集!

オフィスビルで働く人たちの作品。

仕事場のあるあるネタや、ジョジョなどの漫画ネタを盛り込んだり、登場人物がみんなA田、B山と匿名だったりとポップ感満載で面白い。

 

読んだ時に筒井康隆のメタ小説「夢の木坂分岐点」を思い出した。

筒井康隆好きならおすすめできる。

 

著者の女性ならではの毒舌が冴え渡った作品。

書評家の豊崎由美が発起人となったTwitter文学賞受賞作でもある。

【第23位】巨匠とマルガリータ ミハイル・A・ブルガーコフ

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)

春のモスクワに降り立つ悪魔、灼熱のゴルゴタと名無しの巨匠。首は転がり、黒猫はしゃべり、ルーブル札が雨と降る。ブルガーコフ(一八九一‐一九四〇)が遺した二十世紀ロシア最大の奇想小説、物語のるつぼの底で待つのは何か?―「私につづけ、読者よ。」

ロシアの小説家ミハイルブルガーゴフの最後の作品。

小説自体が書かれたのは戦前だが、発禁処分になり、ブルガーゴフの死後1966年に発表された作品。

 

1930年代のモスクワに悪魔があらわれ、好き放題する。

悪魔の働きに翻弄されて文化人があたふたする小説。

 

明らかにゲーテの「ファウスト」を思わせる展開と筋書き。

過去と現在をリンクさせる幻想小説。

 

小説が書かれたのが戦前だったので、ランキングにいれるか悩んだけど、面白いんでいれといた。

他の池澤夏樹編纂の文学全集もおすすめ。

【第22位】阿修羅ガール 舞城 王太郎

阿修羅ガール (新潮文庫)

やべー泣きそうだ。泣きかけだ。半泣きだ。ううう、目が熱い――。アイコは金田陽治への想いを抱えて少女的(ガーリッシュ)に悩んでいた。その間に街はカオスの大車輪! グルグル魔人は暴走してるし、同級生は誘拐されてるし、子供たちはアルマゲドンを始めてるし。世界は、そして私の恋はどうなっちゃうんだろう? 東京と魔界を彷徨いながら、アイコが見つけたものとは――。三島由紀夫賞受賞作。

舞城王太郎は文章に句点をいれず、読点だけで進む軽快な文体が特徴。

今回の作品も舞城節は健在。

 

主人公アイコは恋に悩む今風の女子高生なのだが、一度体を許した相手が失踪する。

彼を探すうちに、どんどん話が訳の分からない状況に陥っていき、カオスに突入していく。

 

昔やってたテレビ音楽番組「夜もヒッパレ」のメンバーが出てきたり地獄にいったりほんと意味分かんない。

 

けど面白い。

【第21位】神様 川上 弘美

神様 (中公文庫)

くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのである―四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。

川上弘美はたくさんの小説を出しているが、デビュー作の神様が一番好き。

 

平易な文体で語られる、「わたし」と様々な存在(存在としか言いようのない)との交流が読んでいてたのしい。

 

「神様2011」では原発事故に際して、放射能に汚染された土地で神様を描き直した震災文学になっている。

読み比べるとどういったところが変わっているのかわかって興味深い。

 

クマの優しさにきゅんきゅんする恋愛小説?

【第20位】万延元年のフットボール 大江 健三郎

万延元年のフットボール (講談社文芸文庫)

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇。谷崎賞受賞。

ノーベル文学賞を受賞している日本を代表する作家。

万延元年のフットボールはその代表作。

 

大江健三郎の作品は、障害を抱えた子供を持つ作者自身と重ねて描くエッセイのような小説が多い。

今回の作品も障害を持つ子供を抱える蜜三郎が主人公だ。

 

地元に戻ってきた蜜三郎と弟の鷹四は祖先の兄弟が万年元年に一揆を起こしたことを知り、自分達に彼らの行動を重ねあわせる。

神話的構造をもった作品。

 

大江健三郎は独特の文体で正直読みにくいのだが、この時期の小説は比較的読みやすい。

1967年谷崎潤一郎賞受賞作。

【第19位】一九八四年 ジョージ・オーウェル

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。しかし彼は、以前より完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。ある時、奔放な美女ジュリアと出会ったことを契機に、伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが……。

核戦争後に3つの大国が誕生し、常に戦争をしている世界。

主人公ウィンストン・スミスの住む国はビックブラザーという独裁者が統治している。

 

ビックブラザーの統治の下、完璧な管理社会の中で人々は常に当局に監視される生活をおくっている。

ウィンストンは役人として歴史の記録を改竄する仕事についているが、次第に当局に対する不信を強めていき、レジスタンス組織に接触する。


有名なディストピア小説。

他にも有名なディストピア小説はハクスリーの「すばらしい新世界」、ヴォネガットの「プレイヤーピアノ」などいろいろあるがこれが一番おすすめ。

 

そして一九八四年が一番悲惨な物語だ。

【第18位】アメリカの夜 阿部和重

アメリカの夜 (講談社文庫)

「重要なのは、いつおこるともわからぬ闘争へむけて自身を鍛えぬくことだ」

映画学校出身の若者・中山唯生(ただお)は、フリーター生活を続けながらブルース・リーが生み出した武道・截拳道(ジークンドー)の修練に励んでいた。
あるとき彼は、映画学校時代のライバル・武藤が撮った自主制作映画に映っていた女優・ツユミの姿に心を奪われてしまう。
武藤の新作映画でツユミと共演することが決まった彼は、役作りのためによりいっそう過酷な訓練で身体を鍛え、意識を高めていく。
そしてついに訪れた撮影当日、驚愕の事件が撮影現場を襲う!
いったい撮影現場に何が起こったのか??
愛に燃える唯生は無事ツユミと共演することができたのか!?

阿部和重のデビュー作。

タイトルはトリフォーの映画愛にあふれた映画「アメリカの夜」から。

 

映画学校を卒業して、アルバイトをする主人公。

自分は特別であると考え、ブルースリーの本を読み体を鍛え、大西巨人の神聖喜劇やプルーストの失われた時を求めてを読みあさる。

 

自分を他人の様に三人称で語り、セルバンテスのドンキホーテの文芸評論をする。

 

変わった小説だが、阿部和重がヴァリスが好きと聞いて納得。

異色の青春小説。

 

面白いから読んどいた方がいいよ。

【第17位】舞踏会へ向かう三人の農夫  リチャード パワーズ

舞踏会へ向かう三人の農夫

それは1914年のうららかな春、プロイセンで撮られた一枚の写真からははじまった。縦横無尽の文章、ほとんど小説の域を逸脱しているような緻密な思索。現代アメリカ文学最強の新人が描き切った驚異の物語。

本の表紙になっている写真が小説のタイトルでもある「舞踏会へ向かう三人の農夫」という写真。

20世紀の人々のポートレイトを収めたドイツの写真家アウグストザンダーの写真の一枚だ。

 

小説はこの一枚の写真に関係した3つのパートで物語が進む。

複製技術である写真を論じながら、20世紀を捉え直す。

大量生産のシンボル自動車王ヘンリー・フォードが登場するのも象徴的。

 

博覧強記の作者の知識量に圧倒される小説。

ピンチョンが好きな人にはおすすめ。

【第16位】ロリータ ウラジーミル ナボコフ

 

ロリータ (新潮文庫)

「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。…」世界文学の最高傑作と呼ばれながら、ここまで誤解多き作品も数少ない。中年男の少女への倒錯した恋を描く恋愛小説であると同時に、ミステリでありロード・ノヴェルであり、今も論争が続く文学的謎を孕む至高の存在でもある。

大学教授ハンバートハンバートが12歳の少女ドローレス・ヘイズに恋をして彼女の恋人になろうとする話。

 

彼女の愛称「ロリータ」は今では一般的に使用されている言葉になっている。

特に日本で。

 

主人公ハンバートハンバートは正にロリコンの元祖ともいえる存在。

インテリロリコン。

ロリータに近づくために彼の母親と結婚したりと、執着心が半端ない。

 

ちなみにわたしのハンドルネームは一部この小説からきているが、わたしは別にロリコンではない。

ほんとだよ。

 

言葉の魔術師ナボコフの文章をぜひ味わってほしい小説。

【第15位】星か獣になる季節 <最果 タヒ

星か獣になる季節 (単行本)

ぼくのアイドルは殺人犯!? 推しの地下アイドル・愛野真実が逮捕されたというネットの噂から平凡な高校生・山城の日常はデスペレートに加速しはじめる――。地下アイドルの“きみ”、イケメンの“あいつ”、冴えない“ぼく”、ギリギリを生きる魂たちが織りなすダークでポップな純度300%の青春小説!!

大好きなアイドルが殺人の罪で捕まった!!

主人公山城はアイドルの無罪を証明しようとクラスの人気者森下とともに奔走する。

根暗な主人公と、クラスの人気者が手を組むという凸凹コンビのバディもの。

 

「死んでしまう系のぼくらに」が好評の新進気鋭の詩人最果タヒの長編小説。

学校の中での他人と分かり合えなさ、思春期特有の他人に対する傲慢さを描いている小説。

 

最果タヒの詩は死を連想させるものが多い(名前もタヒ。これは偶然らしい)が、テンポの良いストーリーの合間に彼女らしい詩のような文章がはいりこむ。

 

もともと、小説を生業としてない人の描く自由な小説。

【第14位】ねじまき鳥クロニクル 村上 春樹  

ねじまき鳥クロニクル〈第1部〉泥棒かささぎ編 (新潮文庫)

僕とクミコの家から猫が消え、世界は闇にのみ込まれてゆく。―長い年代記の始まり。

仕事を辞めて無職になった主人公岡田亨は家事をしながら日々を過ごしていたが、ある日妻が失踪した。

岡田亨は妻を取り戻すため、妻が失踪した理由を解明しようとする。

 

説明不要の日本を誇る作家。

毎年ノーベル文学賞受賞かと騒がれている。

アンチも多いがわたしは大好き(時々比喩でそわそわすることはある)。

 

本書は全三巻の長編だが一気に読めてしまう面白さ。

第二巻の拷問の描写は圧巻である。

笠原メイをはじめとした魅力的な登場人物も素敵。

【第13位】フラニーとゾーイー サリンジャー

フラニーとゾーイー (新潮文庫)

アメリカ東部の小さな大学町、エゴとスノッブのはびこる周囲の状況に耐えきれず、病的なまでに鋭敏になっているフラニー。傷心の彼女に理解を示しつつも、生きる喜びと人間的なつながりを回復させようと、さまざまな説得を試みる兄ゾーイー。しゃれた会話の中に心の微妙なふるえを的確に写しとって、青春の懊悩と焦燥をあざやかにえぐり出し、若者の感受性を代弁する連作二編。

長男シーモアと次男バディに小さい頃から、禅や釈迦などの宗教哲学や東洋思想を叩き込まれたグラース家の末っ子フラニーとその上の兄ゾーイーの物語。

 

フラニーは現実の世界と教え込まれた思想とのギャップに悩み、寝込んでしまった。

心配した母親に呼ばれたゾーイーはフラニーを説得しようとするが・・・

 

とにかくゾーイーがほんといい奴。

饒舌でイケメンで俳優やってて妹思い。
非の打ちどころなし。


サリンジャーは「バナナフィッシュにうってつけの日」などのグラース家の兄弟が活躍するグラースサーガを描いているが、その中で一番好きな作品。

 

兄妹愛って素晴らしい。

素敵な家族小説。

村上春樹翻訳版もあるよ。

【第12位】伝奇集 J.L. ボルヘス

伝奇集 (岩波文庫)

夢と現実のあわいに浮び上る「迷宮」としての世界を描いて、二十世紀文学の最先端に位置するボルヘス(一八九九‐一九八六)。本書は、東西古今の伝説、神話、哲学を題材として精緻に織りなされた彼の処女短篇集。「バベルの図書館」「円環の廃墟」などの代表作を含む。

ラテンアメリカ文学を代表する大家ホルヘ・ルイス・ボルヘスの珠玉の短編集。

 

彼のメタフィクション小説は後世に多大な影響を及ぼしている。

エッセイ風な文体で虚構に入り込む手法は大江健三郎などにも多くみられる。

 

全ての文字列の本が収められた「バベルの図書館」、セルバンテスの「ドンキホーテ」を一字一句同じ文章で再現しようとした作家の話「『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール」など、文字とは何かを問う作品が多い。

 

ボルヘスを読むならとりあえずこれでしょう。

【第11位】みずは無間 六冬 和生  

みずは無間 (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

無人宇宙探査機の人工知能には、科学者・雨野透の人格が転写されていた。夢とも記憶ともつかぬ透の意識に繰り返し現われるのは、地球に残した恋人みずはの姿。法事で帰省する透を責めるみずは、就活の失敗を正当化しようとするみずは、リバウンドを繰り返すみずは…無益で切実な回想とともに悠久の銀河を彷徨う透がみずはから逃れるため取った選択とは?

惑星探査機のAIに人格を投影された主人公天野透が目的もなく宇宙をさまよっている。


何万年も移動を続ける彼は、自身を改造してスペックを向上したりシミュレーション生命体を作って暇をつぶしているが次第に飽きてくる。


そんななか彼の脳裏に甦るのは人間の頃に付き合っていたみずはの記憶だった。

人口探査機なのに恋愛小説の要素も絡んでくる異色のハードSF小説。

 

みずはとの思い出がネチネチしてて好き。

第1回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。

【第10位】オブ・ザ・ベースボール 円城 塔

オブ・ザ・ベースボール (文春文庫)

ほぼ一年に一度、控えめに見ても百人を下ることのない人間が空から降ってくる町、ファウルズ。単調で退屈な、この小さな町に流れ着き、ユニフォームとバットを身につけ、落ちて来る人を「打ち返す」レスキューチームの一員になった男の物語。奇想天外にして自由自在な文学空間。

一年に一度、なぜか空から人が降ってくる町ファウルズ。

その町でレスキューチームの一員になった主人公はなぜかユニフォームとバットを身につけて、落ちてくる人を助けることになる。

SF作家円城塔のデビュー作。

円城塔の作品の中で一番読みやすい作品だと思う。

彼が「道化師の蝶」芥川賞を受賞した時は審査員の度量の広さにびっくりした覚えがある。

コメントは酷評だったけどね。

ちなみに円城塔のペンネームは彼の師であった金子邦彦の小説、「カオスの紡ぐ夢の中で」に登場する、自動小説生成装置の名前。

 

純文学よりでSF要素は薄いので幅広い人に読んでもらえる作品。

【第9位】猫のゆりかご カート・ヴォネガット・ジュニア

猫のゆりかご (ハヤカワ文庫 SF 353)

わたしの名はジョーナ。いまプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいる。"パパ" モンザーノの専制政治に支配されるこの島で、『世界が終末をむかえた日』の著者となるべきわたしは、禁断のボコノン教徒となったのだ。 "目がまわる、目がまわる" 世の中は複雑すぎる。愛するサン・ロレンゾ一の美女モナが、世界中のありとあらゆる水を氷に変えてしまう〈アイス・ナイン〉が、柔和な黒人教祖ボコノンが、カリプソを口ずさむわたしのまわりをめぐりはじめる――独自のシニカルなユーモアにみちた文章で定評のある著者が、奇妙な登場人物たちを操り、不思議な世界の終末を描いた長篇。

小説のタイトル「猫のゆりかご」はあやとりのこと。

 

世界を崩壊させる力を持つ物質「アイスナイン」、貧しすぎてどうにもならない国で流行っているエセ宗教「ボコノン教」などユニークなアイデアが散りばめられた傑作。

 

ボコノン教の教義が面白く、ヴォネガットらしいシニカルなユーモアに溢れている。

ちなみに彼の作品「タイタンの妖女」は爆笑問題の大田光の所属する事務所タイタンの元ネタである。

太田光が好きすぎて事務所の名前にしたらしい。

 

ヴォネガットのウィットに富んだユーモアを体験したいならこの小説。

【第8位】西瓜糖の日々 リチャード・ブローティガン

西瓜糖の日々 (河出文庫)

コミューン的な場所、アイデス“iDeath”と“忘れられた世界”、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説。

村上春樹に影響を与えたと言われるアメリカの作家。

ブローティガンの小説は平易な文章で読みやすく、そしてかっこいい。

 

ヒッピー文化を思わせるコミューンに住む人達と、その外にある忘れられた世界アイデス(iDeath)が舞台。

藤本和子の翻訳がすごい良い。

日本でブローティガンが広くしられたのは彼女の功績が大きい。

 

漫画アラサーちゃんの著者、峰なゆかもおすすめしてた本。

村上春樹の「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」などの初期3部作や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が好きなら間違いなくおすすめできる作品。

 【第7位】太陽・惑星 上田 岳弘  

太陽・惑星

アフリカの赤ちゃん工場、新宿のデリヘル、パリの蚤の市、インドの湖畔。地球上の様々な出来事が交錯し、飽くなき欲望の果て不老不死を実現した人類が、考えうるすべての経験をし尽くしたとき、太陽による錬金術が完成した。

三島由紀夫賞候補に生ったデビュー作「太陽」と芥川賞候補になった「惑星」2編を合わせた短編小説。

 

「太陽」は赤ちゃん工場を作って金儲けをしている男、工場を視察に行く大学教授達、売春をしている女などの群像劇。

現代の様々な状況生い立ちを描きながら、対比するように不老不死を達成して全てが平等になった未来の世界が描かれる。

 

「惑星」は世界を滅ぼそうとする「最強人間」を全ての未来が見通せる「最終結論」である精神科医が、2020年の東京オリンピックに食い止めようとする話。

 

SFを読まない人にも読んでもらいたいSF+純文学の融合した作品。

 

ちなみに「わたしの恋人」でピースの又吉直樹の「火花」を抑えて第28回三島由紀夫賞を受賞したよう。

「私の恋人」は別途ブログで紹介しているよ。


個人的に今一番次回作が楽しみな新進気鋭の作家。

【第6位】闘争領域の拡大 ミシェル ウエルベック

闘争領域の拡大

闘争領域。それはこの世界、自由という名のもとに繰り広げられる資本主義世界。勝者にとっては快楽と喜びが生まれる天国、敗者にとってはすべて苦しみ、容赦ない攻撃が続くシビアな世界。日々、勝者か敗者かの人生が揺れている微妙な三十男の「僕」と、生まれついての容姿のせいで女に見放されている、完全な敗者のティスラン。彼らにとって人生は苦々しく、欲望はときに拷問となる。そんなふたりが出会ったとき、奇妙で哀しい、愛と人生の物語が生まれる―。

フランスの作家ミシェルウェルベックの初期小説。

 

この世界は資本主義の自由化によって、金の無いやつには地獄。

そのうえ、恋愛自由主義のなかでは、異性と付き合えるのは一握りの人間であり、それ以外は淘汰される。

 

そんな絶望的な世界で、性的魅力もなく金もない人間はどうすればいいのか? 

ウェルベックの皮肉の効いたユーモアが冴える非モテ小説。

彼女がいない人はとりあえず読むべし。

【第5位】テキスト9 小野寺 整

テキスト9 (Jコレクション)

惑星ユーンに暮らす老物理学者サローベンとその愛弟子カレンの壮大な旅路は、超権力組織ムスビメ議会の召喚状から始まった。議会の本拠地である地球を訪れたカレンは、宇宙を脅かす超テクノロジーの設計図を盗んだ女の追跡を依頼される。潜入先の惑星タヴで、カレンは未知の言語を操る猿に遭遇し――感情操作薬エンパシニック、謎の言葉トーラー、囚人船ユーツナル号、知性進化系統樹、金融を可視化したスタッシュ……その独創的すぎる内容で選考会でも物議を醸した、世界の在り方を問い掛ける要約不能の超傑作。

惑星ユーンに住む主人公カレンは地球にある超権力議会ムスビメに呼ばれ、盗まれた設計図を取り戻すため旅に出る。

 

あらすじだけ話すとただの宇宙を旅するSF小説だと思うが大間違い。

 要約するのが難しいので是非一度読んでほしい。

 

創世記のオマージュなど様々なネタが盛り込まれている。

作者の文体の問題だろうが、シリアスなときにもふざけているところがあるので、好みが分かれるかもしれないね。

 

映画「インセプション」が好きな人におすすめなメタフィクション小説。

>【第4位】ブラックライダー 東山彰良

ブラックライダー

「世界は瀕死だが、まだ息絶えちゃいない」。“六・一六”により文明を失ったアメリカ大陸。生き残った者は人と牛を掛け合わせた“牛”を喰って命を繋ぐ。保安官バード・ケイジは、四十頭の馬を強奪したレイン一味を追い、大西部を駆ける。道すがら出逢ったのは運命の女コーラ。凶兆たる蟲の蔓延。荒野に散るのは硬貨より軽い命。小説の面白さ、その全てを装填した新たなる黙示録。

世界が一度終わった後の世界。

動物が死に絶え、深刻な食糧難におちいった人々はお互いを喰らいあっていたが、遺された牛の遺伝子と人間の遺伝子を掛け合わせることに成功し、食糧問題は解決する。そんななか人肉を食べることを禁止する法律ができる。

そんな世界の中、ハードボイルドな保安官のバードは列車強盗をしたレイン兄弟を追いかけることになる。

人間より高い知能を持った牛、人に寄生する蟲、討伐軍との戦争、なんでもござれでテンポも良く面白すぎる。

西部劇とSFを組み合わせた未来の神話物語ともいえる小説。

 

著者はこの後「流」で直木賞を受賞したよ。

>【第3位】パルプ チャールズ ブコウスキー

バーと競馬場に入りびたり、ろくに仕事もしない史上最低の私立探偵ニック・ビレーンのもとに、死んだはずの作家セリーヌを探してくれという依頼が来る。早速調査に乗り出すビレーンだが、それを皮切りに、いくつもの奇妙な事件に巻き込まれていく。死神、浮気妻、宇宙人等が入り乱れ、物語は佳境に突入する。

史上最低の探偵小説。

 

私立探偵ニック・ビレーは時給6ドルで依頼を請け負うが、仕事の途中で酒場に行って酒を飲んだり競馬場に入り浸って一日を無駄にするダメ探偵。

そんなダメな探偵ニック・ビレーに立て続けに仕事の依頼がきて次々に仕事をこなしていく。

 

ブコウスキー唯一の長編小説にて遺作。 

フランスのピカレスク小説の大御所セリーヌが登場することからわかるようにセリーヌに影響を受けているみたい。

ダメ人間による最高に面白いアウトロー小説。

今まで絶版だったが、最近、再版されたのでうれしい限り。

【第2位】V. トマス・ピンチョン

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection)

闇の世界史の随所に現れる謎の女、V.。その謎に取り憑かれた“探求者”ハーバート・ステンシルと、そこらはどうでもよい“木偶の坊”ベニー・プロフェインの二人は出会い、やがて運命の地へと吸い寄せられる…。V.とは誰か?いや、V.とはいったい何なのか?謎がさらなる謎を呼ぶ。手がかり多数、解釈無数、読むものすべてが暗号解読へと駆り立てられる―。

デビュー作にして最高傑作。

 

天才トマス・ピンチョンの辞典的と言われる知識量に圧倒される傑作。

ところどころに現れる「V」と呼ばれる女とは何なのか? 時代を超えて存在する「V」の影を追う長編小説。

 

様々なエピソードが過剰に盛り込まれては流れていく。

トマス・ピンチョンの小説は難解だと言われるが、難しいことは学者に任せて単純に文章を愉しめばいい。

 

無職のダメ人間ベニー・プロフェインがワニを捕まえるために下水道に潜ったり、ネズミを改宗させようとする神父が現れたりとユーモアに溢れるバカ話が満載。

 

ポストモダンを代表する小説。

【第1位】百年の孤独 ガブリエル ガルシア=マルケス

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。

蜃気楼の村マコンドに住む一族ブエンディア家の100年の隆盛を描きながら展開するマジックリアリズム小説。

 

登場人物が多く名前が似ているため、巻頭にある一族の系譜図が見返しながら読むとわかりやすい。

 

一族の始祖ホセ・アルカディオは田舎の村で、独自の方法で地動説を発見する天才。

すごい。

その妻ウルスラはブエンディア家を支えるパワフルお母ちゃん。

 長男ホセ・アルカディオはジプシーと共に家を去り、次男アウレリャーノは軍人になり幾度も反乱を起こす。

一族がどんどん増えていく合間に豚の尻尾をもつ子供が産まれもする。

登場人物が次々に入れ替わるカオス。

 

神話的構造を取り入れた、絶対に読むべきラテンアメリカ文学の傑作。

おすすめの小説をランキングランキングしてみて

まとめてみてわかったのはジャンルはSF、ラテンアメリカ文学が多い。

 

あと作家のデビュー作をあげていることが多いかな。

デビュー作は作家として、自分のアイデンティティを問題にした作品が多いので、そういったものに興味を引かれるのだろう。

これはわたしのライフステージの問題で、子供がいたり結婚したりしていると、読むものも変わってくるのかもしれない。

 

ダメな男が主人公の小説も多い。

これはまぁ小説は主人公の変化を描くものだと考えれば、何かの欠落をもってて当たり前だけど、単純に共感するっていうのが多いね。うん。

 

今回のランキングはここ4年くらいに読んでブクログに記録してある800冊を参考にしているので、かなりバイアスがかかっていることを言っておきたい。

その800冊+現状思い出せる昔読んで面白買った本を加えている形になる。

 

最初にも書いたが、小説はそれを読んでいる瞬間にしか体験できない大衆芸術だ。

今は記憶の彼方に消えてしまったが、読んでいる間は面白かった小説もあったはず。

 あと50位以降は順位付けしているが順位はあんまり気にしなくてもいいと思う。

そんな感じで小説100冊をまとめてランキングしてみたよ。

 

色々言いたい人もいるだろうが、そんな人には森見登美彦の迷言を引用させてもらう。

諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。

小説を読む参考になれば幸いです。

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