ハンバート友幸の庭

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気分はもう戦争! 安保法が可決した今読むべき大友克洋の漫画

安保法が可決して集団的自衛権の行使が可能になった日本に住む皆さん、こんにちは友幸です。

 

この安保法はいろいろな法の複合体。

入り組んでて正直、わたしたち一般人からみるとどういったものかよくわからない。

対外的には戦争に参加できるような解釈になっているようだが、自民党の人たちは内外的には「今までと変わらない」と答弁している。

 

憲法学者が口々に違憲だと言っているのに、無理に押し通す理由があるのだろうが、わたしたちには明快な説明はされていない。

正直、自民党の人もほとんどわかってないんじゃないのだろうか。

 

同じなら変えなくてもいいんじゃないの?ってのが素朴な意見。

対外的な解釈と内外へのアナウンスのどちらかが嘘なのだろうけど、ちょっぴり日本が戦争が近づいたのは間違いなさそうだ。

 

そんな中わたしは最近、大友克洋の漫画を読み直している。

その中に「気分はもう戦争」という小説家の矢作俊彦との共著があるので紹介するよ。

「 気分はもう戦争」とは?

漫画アクションに連載されて、1982年1月24日に初版が発売された漫画。

30年以上前、私が生まれる前に描かれた漫画だ。

すごいな。

作者 大友克洋について

説明不要の超有名漫画家だが、一応プロフィール紹介。

1954年、宮城県生まれ。1970年代にマンガ『童夢』などが大評判に。1980年代初頭から連載した『AKIRA』が爆発的なヒットとなり、第8回講談社漫画賞を受賞。同作をアニメ化した劇場版(1988年)は海外からも高い評価を受け、現在の日本製アニメが世界に進出する契機となった。監督・脚本としての最新作は、オダギリジョー主演の実写映画『蟲師』(2007年)。同年の劇場アニメ『新SOS大東京探検隊』では、原作・キャラクター原案を手がけている。

他にもアニメ映画「スチーム・ボーイ」や日清カップヌードルと提携した「FREEDOM」などの作品も有名。

後進の漫画家に多大な影響を与えた人物である。

気分はもう戦争のあらすじ

「198X年」ソ連軍が中国領内に侵攻して中ソ戦争が勃発。思うところあってその戦争に参加した三人の義勇兵、アメリカ人の「ボゥイ」、日本人の「ハチマキ」と「めがね」。彼らの従軍記と、「戦争」に直面して動揺する日本国民のエピソードとを、各章で交互に描く。

メインは三人の義勇兵の話だが、オムニバス式に、大学受験を落ちた受験生や、日本の陸上自衛隊員などが登場

矢作俊彦原作のため、情勢が複雑な構成になっている。

子供と老人が登場しない

大友克洋の多くの作品では、不気味な子供や老人が登場する。

社会の枠からは直接関係せず、距離を保っている老人と子供たち。

しかしそんな彼らが実は重要な役割を担っていたりするのだ。

 

今回は矢作俊彦原作のため、そういった老人と子供は登場しない(間接的にはおかしな老人は登場する)

というか子供はほとんどこの漫画にでてこない。

そこが従来の大友作品と大きく違う点だ。

大友克洋と矢作俊彦が登場するメタ漫画

この漫画には作者の大友克洋と矢作俊彦が登場する。

大友克洋の漫画「気分はもう戦争」

原稿の締め切りからの現実逃避のために中ソ戦争が始まったと聞くと、中国に行き現地を取材して一儲けしようと考える。

彼らは漁船を奪い、中国大陸に旅立って行く。

 

作者がドタバタを繰り広げるメタ漫画でもある。

ポパイのパロディ

2話の「POP-EYED SALESMAN」の表紙はポパイのパロディになっている。

大友克洋の漫画「気分はもう戦争」

最初のページにはポパイを真似た記事が描かれている。

一部引用する。

戦争大好き少年この指とまれニュースだぞ!

考えてみれば、もうぼくたちは長いこと本チャンの戦争にはふれてないって、わが日本のシテ―・ボーイはシテー・ボーイとして、いささかの負い目なんか感じてるんじゃないかって今日このごろ、ついに日本にも戦争が上陸しそうなんだなあ、これが。もし本当ならこれはもうゴキゲンのダイナマイツなんだけどね。というわけで、このトレーナー。ラコステの野戦服とギンガム・チェックの弾帯なんかとコーディネートすると、少しばかり気分で戦争だよね。

チャラ!

チャラいなー。

昔のポパイってこんな感じだったのだろうか。

 

紹介されているトレーナーには日本国旗の下に「一億一心」「一粒三百米」「七生報国」と書かれている。

右翼アピール半端ないトレーナーである。

喜劇的な戦争

メインの登場人物である三人の義勇兵、アメリカ人の「ボゥイ」、日本人の「ハチマキ」と「めがね」。

彼らは実際に中国で戦争をしているのだが、彼らの戦争も喜劇的に描かれている。

 

中国軍の大麻畑を見つけた義勇軍がロシア軍と戦闘になるが、大麻が燃えてしまい、トリップした状態で両軍が戦ったり、いまだに毛沢東政権が続いていると思い、飛ばされたことを恨んで、山中に潜んでいる元高級将校が登場する。

大友克洋の漫画「気分はもう戦争」

戦争を描いているがあくまでパロディとしての戦争である。

でも人が死んでる

この漫画では途中まで日本人の戦死者が話の最後に記載されている。

最後に掲載されたのは第8話。

198x年xx月xx日

中ソ戦争か勃発から52日目

日本人戦死者38名

中ソ戦争が80年代に起こっていれば、対岸の火事では済まずに日本でも必ず戦死者がでるのだ。

パロディ漫画でこのありさまなら現実では推して知るべし。

まとめ

「戦争のパロディはけしからん」という人もいるだろう。

 

でも、喜劇的なほうが間口が広がるし、読んでいる人も馬鹿じゃない。

喜劇的に戦争が描かれているというのは一目瞭然だろう。

パロディの戦争でも人が死ぬ。

その当たり前の事実から、現実に起こった場合の悲惨さを推し量ることができる。

 

みんなが30年以上前の本書を読んで「今」どう感じるのか確かめてみるのも面白いかもしれない。

 

わたしたちの選んだ政治家の人たちの気分は戦争なのかもしれないけど、これからどうなるかわからない。

 

とりあえず最高裁の判断を待とう。

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